草加の指定管理者制度について2006年12月07日 22時47分09秒

 草加では、2004年4月より指定管理者制度による児童クラブ(学童保育)の運営が始まりました。第一回目に指定を受けた施設は、すでに3年目を迎えています。先日、更新のためのプレゼンが終了しました。この間の、草加での経験について少し書いてみます。

 2004年4月から、西町児童クラブと氷川児童クラブの2児童クラブ(学童保育室)を、2005年4月から花栗南児童クラブを、草加・元気っ子クラブが指定管理者として運営を行っています。西町・氷川については、指定期間が3年であったので、今年11月に、更新のためのプレゼンが行われました。この時同時に、これまで公立児童クラブであった花栗児童クラブと、小学校の建て替えに伴い、校舎内に新設された谷塚児童クラブ(これまでは児童館の中で保育)の2児童クラブも指定管理者の募集が行われました。

 第1回目の西町・氷川の時には、越谷市内にあるNPO法人との競争でした。2回目の花栗南の時には、(株)エヌ・アイ・サービスとの競争でした。

 元気っ子クラブにとって、プレゼンは、今回で3回目となりましたが、今回のプレゼンのやり方は、前2回とは大きく異なっていました。

 前2回の時は、選考基準を市が作成し、内容については、具体的な点数表等も公開されていました。今回は、選考基準を選考委員会が作成し、一切公開されなくなりました。
 今回は、提出資料とは別に、プレゼン用の資料を作ることを求められましたが、その際に8つの観点が示されました。その中には、「効率的運営の方法」「利用者サービス」「独自性」など、前回の時にはなかった項目が含まれていましたが、逆に「保育内容」に関する項目は一切ありませんでした。(私たちが作成した「プレゼン資料」は、元気っ子クラブのホームページで見ることができます。)
 委託料についても、前2回は、委託料基準が事前に示されていましたので、委託料金額による競争ということは考えられませんでしたが、今回は、一切そうした基準が示されませんでした。より良い保育をしようとすればするほど、委託料額が増えることを覚悟しながら、予算を組まざるをえませんでした。私たちは、責任を持って保育を行うために、あえて、市の基準より多い職員配置を組みました。委託料金額としては、おそらく募集団体の中では、一番高かったのではないかと思われます。
 
 今回応募した団体は、以下の通りです。
<西町・氷川と谷塚・花栗の両方に応募した団体>

元気っ子クラブ、(株)日本デイケアセンター、NPO法人夢ネットの3団体。

<谷塚・花栗児童クラブだけに応募した団体>

前記の3団体に加えて、(株)プロケア、(株)日本保育サービス、NPO法人さくら会の合計6団体。

選考結果は以下の通りになりました。
☆西町・氷川児童クラブ
(再指定施設 指定期間5年間)
順位(1位以外の団体名は非公開)
1位 NPO法人 草加・元気っ子クラブ  789/1000
2位  団体A              592/1000
3位  団体B              574/1000

☆谷塚・花栗児童クラブ
(新規指定施設 指定期間3年間)
順位(1位以外の団体名は非公開)
1位 NPO法人 草加・元気っ子クラブ  789/1000
2位    団体A             769/1000
3位    団体B            700/1000
4位    団体C            591/1000
5位    団体D            573/1000
6位    団体E                 561/1000  


 西町・氷川については、2位と200点近くの大差をつけての「圧勝」でした。これは、これまでの2年半の実績がものを言ったものと思われます。新設学童であったために、よりよい学童をつくろうと、一から指導員と保護者が協力して取り組んできました。保育内容に関しても、「不満」という人がゼロ、「満足」という人が9割というように、保護者から絶大な信頼を寄せられていました。4月には、両児童クラブの父母会連名で、元気っ子クラブの運営継続を求める要望書を市長にも提出していました。こうした実績から見れば、ある意味当然の結果だと言えます。

 その一方で、谷塚・花栗の方は、1位になったとはいえ、20点の僅差でした。これは、評価基準が変更になったこと、その中で効率性やサービスの向上を競い合うような観点が導入されたことなどによるものと思われます。さらに、一つの団体だけが「独占」することを避けようという意識も働いたのではないかと思われます。(実際、今回の応募に当たっては、市議会議員なども含めて、いろんな働きかけや動きがあったようです。)

 こうした中でも、結果として、元気っ子クラブが1位を取ることができたということは、とても大きな意味があると思います。しかし、逆に言えば、もし仮に、市が、効率性などを最優先し、他団体を入れて競争させようということを考えたならば、意図的に選考委員を選んだりして、選考結果を自分の都合の良い方向に持って行こうとすることは可能であるということです。

 どんなに良い保育を行い、保護者からも信頼を得ていたとしても、評価基準や観点が異なっていれば、その団体が選ばれるとは限りません。

 今回のプレゼンを傍聴した保護者が、自分の子どもの問題であるのに、当事者である保護者が、何も言うことができないということに驚いていました。行政担当者を除けば学童保育とはあまり関わりのない選考委員が、つっこんだ質問もない、わずか30分程度のプレゼンで、自分の子どもがお世話になる学童保育室の運営者が決められていくということに、本当にこれでいいのだろうかという感想を述べていました。

 学童で実際に生活している子どもたちやその保護者の思いが、きちんと伝えられているのかどうか。子どもや保護者の立場に立って、きちんと運営者が選考されるシステムとなっているのかどうか。こうしたことを考えてみると、指定管理者制度は、ひじょうに大きな問題を持った制度であると言わざるを得ません。

 指定管理者制度については、まだまだ書かなければならないことがたくさんあります。また、別の機会に続きを書きたいと思います。

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