ブログ開設2006年12月01日 23時44分56秒

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ブログ開設

NPO法人草加・元気っ子クラブ代表理事の小池です。

今日からブログを開設しました。

私たちのNPOの活動や日頃考えていることなどを紹介していきたいと思います。

NPO法人草加・元気っ子クラブは、草加市内にある15カ所の児童クラブ(学童保育室)を、市からの委託を受けて統一運営している団体です。15カ所のうち、3カ所は指定管理者として運営を行っています。

先日、指定管理者の選考会があり、来年4月から、新たに2カ所の児童クラブ(学童保育室)の指定を受けることになりました。(正式には12月議会で決まります。)

少子化ということが大きな社会問題となり、子育て支援ということが叫ばれている中ですが、学童保育に対する施策は、まだまだ遅れているというのが現状です。そうした中でも、草加市では、子どもを真ん中にして、父母と指導員が共に手をつないで、元気よく活動しています。

まだまだ、本当に子ども達が住みよいまちとは言い難い草加市ではありますが、みんなで協力して少しずつ前進していくことができればと思っています.

草加市地域子ども教室交流会2006年12月02日 21時32分53秒

 今日は、午後から、草加市地域子ども教室交流会に参加してきました。これは、草加市地域子ども教室実行委員会が主催したもので、担当課からは、課長と課長補佐なども参加されていました。

 放課後子どもプランが提起され、「地域子ども教室推進事業」と学童保育(放課後児童健全育成事業)とを「一体的あるいは連携して」実施するということが言われている中、実際に、地域子ども教室を実施されている方々と交流することは、とても大切なことだと思います。

 国は、「小学校内で実施する」、学習機能も持たせる、などと言っています。しかし、こうしたことは、草加市で実際にやっていることとあまりにかけ離れています。やっていらっしゃるみなさんも、文科省などが言っていることは、自分たちが思っていることとは「ちょっと違うな」という受け止めをされているように思いました。

 担当課の話では、来年度は、モデル校を3校程度を選び、実施したいとしていました。実施に向けて、運営委員会(協議会?)のようなものを設置する考えのようです。学童保育の関係者も、この委員会に入ってもらいたいという意向のようでした。

 学童保育そのもののが抱えている課題もたくさんありますが、子ども達のために一生懸命活動されている、他団体の方々ともさらに交流を深めていくことが必要であると思います。

大田尭先生の話に感激!2006年12月03日 21時43分37秒

 今日は、東上沿線学童保育のつどいに参加してきました。
 
 指定管理者制度の分科会があり、その助言者を頼まれたからです。会場は、東上線若葉駅を降り、徒歩5分の所にある、女子栄養大学のとてもきれいなキャンパスでした。

 午前中は、大田尭先生の講演。いつもながら、わかりやすく元気の出るお話でした。とうてい88才とは思えない、情熱と若さあふれる講演でした。

 以下、印象に残った言葉を少し書いてみます。

 今の学力低下や不登校などの背景には、子どもの時の遊びの欠落がある。子どもの時に、内発性に基づいた生身の遊びを通して、感性をたくさん蓄えておくことが大切。この感性の蓄えがあってこそ、あとから身に付く学力が本物になる。

 こうした遊びの欠落が大きな問題として現れてくるのが思春期-自立のための時期。幼いときに、たっぷりとした仲間との交わり、ふれあいがないと自立は難しい。自分を映す鏡である仲間がたくさんいてこそ、自分という人間が何者であるかが漠然としてでも分かってくる。自分が何ものであるかがわからないいらだちを感じている若者も多い。

 大人が作っている社会状況が問題。現代は、市場経済によってもたらされた欲望肥大社会である。自らの欲望を満たすことが優先されると自己中心的な社会となる。自己中心的で一人ひとりがバラバラにされた社会である。

 こうした人間性の危機の時代の中で、どう人間を守り、連帯を取り戻していくのかということが大きな問題である。昔の共同体とは違う、新しい共同体、市民の連帯を作り出す必要がある。

 若いときに、臣民(天皇陛下の子ども)として育てられたので、いまだに臣民意識が抜けないときがある。「これから人類はどうなるんでしょう?」と聞かれ、つい「滅びるでしょう」と答えてしまった。せめて、「共に、考えていきましょう」と答えるべきであった。

 「(これから日本は)どうなるんでしょう?」というのは、全てをお上に委ねている臣民意識。「どうなるかではなく、どうするか」と考えるのが主権者としての考え方。

 新しい市民連帯を作り出すための3つのヒント
①お互いの多様性を認めあうこと。お互いが不完全な存在。不完全だからこそ、みんなで知恵を出し合って社会を作っていく。それが民主主義。

②生き物の特徴は、「自ら変わる」ということ。特に、人間は、自分の意思で、「その気で変わる」。

③命は関わりの中にある。支えられてお互いが生きている。



 私が文字で書くと、あまり迫力なくなってしまいますね。

 でも、
 「人と人の関わりを大切にして、新しい市民的連帯を作っていくことが大切」

 「どうなるかではなく、どうするかと考えるのが主権者としての考え方」

 こうした言葉は、心に深く刻んでおきたいと思います。

 午後の分科会の感想は、また今度。

指定管理者制度について2006年12月04日 22時42分14秒

 昨日の東上沿線交流会の続きです。午前中の、大田先生の講演のあと、午後は指定管理者制度の分科会に助言者として参加しました。

 富士見市と坂戸市で、今年の4月から、指定管理者制度による運営が始まりました。今回は、この二つの自治体の具体的な取り組みを聞くことができ、大変参考になりました。

 10月に行われた全国学童保育研究集会でも、指定管理者制度の分科会で、全国のさまざまな自治体の様子を聞くことができました。

 自分たちの指定管理者としての3年間の経験と全国各地の報告を聞いて、感じたことを少し書いてみたいと思います。

 指定管理の問題を考えるにあたっても、まず最初に押さえておかなければならないことは、学童保育という事業は、今でもまだまだ非常に遅れた施策であるということです。全国連協を始めとして、全国各地のねばり強い運動によって、やっと法制化を実現しましたが、それでも、引き続き当事者である父母と指導員が協力して運動を続けていかなければ、なかなか施策の前進が実現しないというのが現実です。(だからこそ、その中で人間同志の深い関わり合いが生まれ、絆を深めることができるという、良さもあるのですが。)

 指定管理者制度が導入され、公設民営となり、多少施設が良くなったりすることもありますが、まだまだ遅れた施策であることに代わりはありません。この訳の分からない制度の導入により、経費削減などが押しつけられ、ただでさえ遅れた施策が、さらにグチャグチャになっているというのが今の状況ではないかと思います。

 こういうぐちゃぐちゃな状況だからこそ、運動を進める側が、きちんとした立場に立ち、しっかりとした目標を持って原則的に取り組んでいくということが極めて重要になっているのだと思います。

 私たちが一番大切にしなければならないこと何なのか。私たちが理想とする学童保育はどのような姿なのか。そういうことを、みんなできちんと論議をし、確認すること。これがまず大切だと思います。

 自分たちの運動をチェックする視点をいくつかあげてみます。

 ①私たちの運動が、子どものことを第一に考えたものとなっているかどうか。

 行政から、「お金がないから」とか「効率的運営のため経費削減を」と言われたときに、「市もお金がないからしょうがないか」と考えるのか、目の前にいる子ども達のことを考えて、「お金がなくても、未来を担う子ども達のためにこそお金を使うべきではないですか」と自信をもって言うことができるかどうか。

②子どもを真ん中にして、父母と指導委員が本当に協力し合っているのかどうか。

 親は、子どもを預けっぱなしとなっていないか。指導員は、子ども達のこと、保育のこと、より良い保育を実現するための自分たちの労働条件のことなどときちんと親に伝えているのかどうか。同じ方向を向いて、本当に親と指導員が協力し合って運動を進めることができているのか。

③NPO等が指定管理を受けている場合には、経営者として、子ども達のためにより良い保育をしていくということをまず最優先して経営を行っているのかどうか。

 市から、経費削減を提案されても、「こんなお金では、子ども達のために、良い保育を責任を持って行うことはできない」とはっきりと主張し、断固闘うことができるかどうか。良い保育を行うためにこそ、指導員の生活をきちんと守るという立場に立って、経営を行うことができるかどうか。

 どういう運営形態になったとしても、学童にとって大切なものは変わらないだろうと思います。

 子どもを真ん中に、親と指導員が、共にかたく手をつないで、より良い保育をめざし運動を進めていくということ。このことを、何よりも大切にしていくことが、今本当に求められているのだと思います。

草加の指定管理者制度について2006年12月07日 22時47分09秒

 草加では、2004年4月より指定管理者制度による児童クラブ(学童保育)の運営が始まりました。第一回目に指定を受けた施設は、すでに3年目を迎えています。先日、更新のためのプレゼンが終了しました。この間の、草加での経験について少し書いてみます。

 2004年4月から、西町児童クラブと氷川児童クラブの2児童クラブ(学童保育室)を、2005年4月から花栗南児童クラブを、草加・元気っ子クラブが指定管理者として運営を行っています。西町・氷川については、指定期間が3年であったので、今年11月に、更新のためのプレゼンが行われました。この時同時に、これまで公立児童クラブであった花栗児童クラブと、小学校の建て替えに伴い、校舎内に新設された谷塚児童クラブ(これまでは児童館の中で保育)の2児童クラブも指定管理者の募集が行われました。

 第1回目の西町・氷川の時には、越谷市内にあるNPO法人との競争でした。2回目の花栗南の時には、(株)エヌ・アイ・サービスとの競争でした。

 元気っ子クラブにとって、プレゼンは、今回で3回目となりましたが、今回のプレゼンのやり方は、前2回とは大きく異なっていました。

 前2回の時は、選考基準を市が作成し、内容については、具体的な点数表等も公開されていました。今回は、選考基準を選考委員会が作成し、一切公開されなくなりました。
 今回は、提出資料とは別に、プレゼン用の資料を作ることを求められましたが、その際に8つの観点が示されました。その中には、「効率的運営の方法」「利用者サービス」「独自性」など、前回の時にはなかった項目が含まれていましたが、逆に「保育内容」に関する項目は一切ありませんでした。(私たちが作成した「プレゼン資料」は、元気っ子クラブのホームページで見ることができます。)
 委託料についても、前2回は、委託料基準が事前に示されていましたので、委託料金額による競争ということは考えられませんでしたが、今回は、一切そうした基準が示されませんでした。より良い保育をしようとすればするほど、委託料額が増えることを覚悟しながら、予算を組まざるをえませんでした。私たちは、責任を持って保育を行うために、あえて、市の基準より多い職員配置を組みました。委託料金額としては、おそらく募集団体の中では、一番高かったのではないかと思われます。
 
 今回応募した団体は、以下の通りです。
<西町・氷川と谷塚・花栗の両方に応募した団体>

元気っ子クラブ、(株)日本デイケアセンター、NPO法人夢ネットの3団体。

<谷塚・花栗児童クラブだけに応募した団体>

前記の3団体に加えて、(株)プロケア、(株)日本保育サービス、NPO法人さくら会の合計6団体。

選考結果は以下の通りになりました。
☆西町・氷川児童クラブ
(再指定施設 指定期間5年間)
順位(1位以外の団体名は非公開)
1位 NPO法人 草加・元気っ子クラブ  789/1000
2位  団体A              592/1000
3位  団体B              574/1000

☆谷塚・花栗児童クラブ
(新規指定施設 指定期間3年間)
順位(1位以外の団体名は非公開)
1位 NPO法人 草加・元気っ子クラブ  789/1000
2位    団体A             769/1000
3位    団体B            700/1000
4位    団体C            591/1000
5位    団体D            573/1000
6位    団体E                 561/1000  


 西町・氷川については、2位と200点近くの大差をつけての「圧勝」でした。これは、これまでの2年半の実績がものを言ったものと思われます。新設学童であったために、よりよい学童をつくろうと、一から指導員と保護者が協力して取り組んできました。保育内容に関しても、「不満」という人がゼロ、「満足」という人が9割というように、保護者から絶大な信頼を寄せられていました。4月には、両児童クラブの父母会連名で、元気っ子クラブの運営継続を求める要望書を市長にも提出していました。こうした実績から見れば、ある意味当然の結果だと言えます。

 その一方で、谷塚・花栗の方は、1位になったとはいえ、20点の僅差でした。これは、評価基準が変更になったこと、その中で効率性やサービスの向上を競い合うような観点が導入されたことなどによるものと思われます。さらに、一つの団体だけが「独占」することを避けようという意識も働いたのではないかと思われます。(実際、今回の応募に当たっては、市議会議員なども含めて、いろんな働きかけや動きがあったようです。)

 こうした中でも、結果として、元気っ子クラブが1位を取ることができたということは、とても大きな意味があると思います。しかし、逆に言えば、もし仮に、市が、効率性などを最優先し、他団体を入れて競争させようということを考えたならば、意図的に選考委員を選んだりして、選考結果を自分の都合の良い方向に持って行こうとすることは可能であるということです。

 どんなに良い保育を行い、保護者からも信頼を得ていたとしても、評価基準や観点が異なっていれば、その団体が選ばれるとは限りません。

 今回のプレゼンを傍聴した保護者が、自分の子どもの問題であるのに、当事者である保護者が、何も言うことができないということに驚いていました。行政担当者を除けば学童保育とはあまり関わりのない選考委員が、つっこんだ質問もない、わずか30分程度のプレゼンで、自分の子どもがお世話になる学童保育室の運営者が決められていくということに、本当にこれでいいのだろうかという感想を述べていました。

 学童で実際に生活している子どもたちやその保護者の思いが、きちんと伝えられているのかどうか。子どもや保護者の立場に立って、きちんと運営者が選考されるシステムとなっているのかどうか。こうしたことを考えてみると、指定管理者制度は、ひじょうに大きな問題を持った制度であると言わざるを得ません。

 指定管理者制度については、まだまだ書かなければならないことがたくさんあります。また、別の機会に続きを書きたいと思います。