「やらせ質問」と教育基本法2006年12月14日 21時49分38秒

きのう、政府主催のタウンミーティングの「やらせ」質問などを調べていた調査委員会の最終報告書が出されました。「大人のモラル」ということを書いたばかりですが、この報告書を見ると、政府のモラルの低さも、本当にひどいものです。情けないと言おうか、悲しくなるくらいに低レベルです。

すでに新聞等でご覧になっているかと思いますが、174回行われたタウンミーティングの調査結果を簡単にまとめてみましょう。

「やらせ質問」について

①事前に内容を示して発言依頼をしたのが15回(教育改革に関しては8回中5回)

②内容を示さない発言依頼が105回

③このうち司会者からとくに紹介を受けず一般参加者に紛れて発言したのが29回。

④国から公務員が動員されたのが71回。(中には、一般参加者ゼロというタウンミーティングも何カ所かあったそうです。)

不明朗な会計処理

タウンミーティング1回の開催にかかった費用は、初年度の平均が2200万円。その後は700万円~1300万円。全体の平均が1100万円だそうです。174回やったということは、これまでこのタウンミーティングのために、1100万円×174回=19億1400万円が使われたということになります。

私たちの感覚からすれば、たかが数百人程度の集会に、なぜ1000万円もの費用がかかるのか不思議です。会計処理に関しても、「会場における送迎」「エレベーター手動」「エレベーターから控室までの誘導」などの項目に、4万円や2万9千円といった絶対にありええない単価が計上されており、不明朗です。

反対意見の参加者を排除

「やらせ」だけでなく、参加者の排除までしていました。2005年に京都市で開催されたタウンミーティングでは、内閣府が事前に好ましくないと判断した人物を排除するために、意図的に50名を抽選で落としていたということです。



安倍首相は、当時官房長官でした。今日の新聞によれば、当時の官房長官としての責任を取り、「首相の俸給3ヶ月分を返納する」そうです。

しかし、そんなお金で解決する問題でしょうか。政府自身が、税金を使って世論誘導をし、自分たちのやりたい方向に国民を導こうとしたわけですから、民主主義の根幹に関わる大問題です。

これだけの重大問題のけじめを、俸給3ヶ月で済ませようという、安倍首相の安易さ、無責任さ、薄っぺらさに、もう憤りを通り越して、あきれてしまいます。少なくともこういう人間に、子ども達の教育の問題を語って欲しくないと思います。

「やらせ質問」問題も決着しない中、今日の午後6時過ぎ、参院教育基本法特別委員会で、自民、公明両党の賛成多数で、教育基本法改正案が可決されました。

教育改革に関するタウンミーティング8回のうち、5回は事前に内容を示しての「やらせ質問」あり。政府の調査委員会でさえ「世論誘導の疑念を払拭できない」と断じた報告書が前日に提出。それでもやっぱり平気で、多数で強行してしまう。

「これでいいのか、日本の政治!」と思うのは私だけでしょうか。