高砂児童クラブで、指定管理の学習会2007年06月04日 22時47分55秒

6月2日、高砂児童クラブの父母会に呼ばれ、指定管理者制度についてお話ししてきました。30人ほどの保護者を前に、指定管理者制度の仕組みや草加市での取り組みなどについて1時間ほどお話しをしました。そのあとの質疑応答では、熱心にたくさんの質問が出て、とても関心が高いと感じました。

やはり、保護者にとっては、運営が変わるということは大問題です。今、公立の児童クラブとして、熱意あふれる指導員のもと、父母会も協力しながら、何の問題もなく保育を行っているにも関わらずに、なぜあえて運営を変えなければならないのか?誰でもが抱く、当然の疑問だろうと思います。

「公立のままではダメなのか?」という声に対し、市側からは、「指定管理とするのは市の方針。高砂だけ特別扱いするわけにはいかない」というものだとか。一番影響を受けるのは、子ども達であり、その保護者です。

「市が決めたことだから」ではなく、子ども達のことを最優先にして、どうあるべきかを考えなければならないだろうと思います。

学童保育の「ガイドライン」~子ども未来財団の研究報告2007年06月10日 17時46分12秒

本年2月に、厚生労働省の外郭団体である「子ども未来財団」が「放課後児童クラブにおけるガイドラインに関する調査研究」を発表しました。

学童保育には、国としての「設置・運営基準」がなく、これまで全国連協などがその策定を強く求めてきていました。2005年10月、厚生労働省は、国会の場で初めて「ガイドラインについて研究したい」と明言しました。これを受けて、「子ども未来財団」に「ガイドライン」についての調査研究を依頼したものです。厚生労働省としては、この「調査研究」も参考にしながら、今年度中に、「ガイドラインを示していきたい」としています。

先日、この「調査研究」の冊子が手に入りましたので、読んでみましたが、現場の父母、指導員、そして子どもの立場に立って書かれており、とてもすばらしい内容だと思いました。「学童保育とは何か」、「学童保育でどんなことを大切にしなければならないか」ということなど、これまで私たちが主張してきた内容とほぼ同じことが、きちんと整理して書かれてあり感心しました。

「調査研究」の研究会員名簿を見ると、学者研究者などに混じって、学童の現場に長く関わってこられた名前も何名か入っていました。現場への視察やヒアリング、アンケート調査なども何回も行ったようであり、学童保育のことをよく理解した上で書かれた「調査研究」であると思います。機会があれば、ぜひ目を通していただきたいと思います。

今後、このブログでも、何点か紹介していきたいと思います。

子ども未来財団の「調査研究」から2007年06月10日 22時12分35秒

「放課後児童クラブにおけるガイドラインに関する調査研究」(子ども未来財団)では、放課後児童クラブ(学童保育)に求められる機能・役割として、次の6点をあげています。

●子どもの健康管理、安全確保、情緒の安定
●遊びの活動への意欲と態度の形成
●遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
●子どもの遊びの活動状況の把握と家庭への連絡
●家庭や地域での遊びの環境作りへの支援
●その他放課後における子どもの健全育成上必要な活動

この6つの活動内容に即して、さらに具体的に整理し、述べています。いくつか紹介します。

放課後児童クラブが「生活」の場として成り立つためには、子どもが安心して来られ、過ごせる場であることが必要である。子どもが毎日来たくなるように、放課後児童指導員との関係や子ども同士の安定した人間関係が構築されると共に、子ども一人ひとりが放課後児童クラブで過ごすことに安心と充実感を感じられるようにする配慮が必要である。
放課後児童指導員には、子どもの気持ちや考えなどの内面的な部分での関わりを含めて子ども一人ひとりを理解し、子どもが”いつも待っていてくれる人がいる、安心できる場所”という意識を持てるように関わることが求められる。

学童保育のことを本当によく理解して、書かれてある文章だと思います。厚生労働省の委託を受けた調査研究において、これほどまでに、現場の立場に立った報告が出されていることに、感動を覚えます。

学童の「運営主体」については、以下のように述べています。

放課後児童クラブの運営には継続性が求められることから、安定した財政基盤と運営体制を有する主体が継続的・安定的に運営を担っていくことが望ましい。また、放課後児童クラブは子どもの健全育成を図ることを目的とする地域に密着した事業でもあることから、運営主体には子どもの福祉や地域の実情についての理解を十分に有することが求められる。
公設の放課後児童クラブが運営委託や指定管理制度の対象となる場合、設置主体である市区町村はその運営状況について継続的に確認・評価し、事業が安定的に維持されるように対応することが求められる。また、民設の放課後児童クラブについても、市区町村はその事業が安定して着実に実施されるように必要な方策を講じることが求められる。

学童保育の果たすべき役割をきちんと理解するならば、子ども達と指導員、保護者と指導員との信頼関係が極めて重要であるということは自明のことです。そうした信頼関係を育んでいくためには、学童保育は、安定的に継続して運営されなければなりません。また、地域も含めたさまざまな人間関係の中で子ども達は育っていくわけですから、その運営団体が、地域に根ざして活動する団体であるべきだということも当然のことでしょう。

こうした観点に照らしてみても、草加市が進めている指定管理者制度の方針は、学童保育の理念にはそぐわないものであると言わざるをえません。

草加の「大規模化」は、本当に深刻!!2007年06月17日 14時39分02秒

6月12日、指導員会の研修として、県連協の森川さんをお呼びして、大規模問題の学習会を行いました。

現在、国では、71人以上の学童保育については、3年以内に分割を進めるようにという方針を掲げています。

学童保育室数に対する、児童数が71人以上の学童保育室の割合ですが、全国と県では以下のようになっています。

全国では、2057カ所で、12.9%。
埼玉県内では、107カ所で、16.7%。

では、草加市では、どうなっているのでしょうか。

草加市の場合、公立も含めると、学童保育室の箇所数は21カ所です。そのうち、児童数が71名を超えているのが、元気っ子クラブ運営の学童で10箇所、公立学童で2箇所、合計12箇所となっています。ということは、

草加市では、71名を超える大規模学童は、12カ所で、なんと57.1%にもなります。

国、県以上に、草加市の大規模化が、深刻な状況にあるということがわかります。

国は、現在ある施設を間仕切り等で仕切って分割を行うこともOKとしています。しかし、草加の施設を見た場合、施設そのもの面積が狭いために、それを間仕切り等で仕切ったとしても、根本的な解決にはなりません。

草加において、この大規模問題を解決していくためには、学童保育の施設そのものを増設・新設していく以外にはないのではないかと思います。

下のグラフは、草加の学童保育児童数の推移です。10年前、400人足らずだった民間学童児童数が、今年度当初には約1200名となっています。10年間で、3倍の増加です。

学童の大規模化は、さらに進行する!2007年06月17日 18時52分43秒

大規模化の解消のために、行政などに、施設の増設や新設を求めていくときに、時々言われることがあります。それは、次のようなものです。

いまは、子どもの数が増えているけれども、長期的に見れば子どもの数が減っていく。長期的に見て、施設の増設や新設が、本当に必要なのかどうか、慎重に考えていかなければならない。

一見もっともそうな意見にも思えますが、施設の増設や新設に真剣に取り組まない言い訳のようにも思われます。学童保育に通う子どもたちの数は、今後も増え続けるのかどうか、具体的なデータに基づいて、きちんと検証していくことが必要です。

先日、こども未来財団が発表した「放課後児童クラブにおけるガイドラインに関する調査研究」のことを紹介しましたが、この「調査研究」の中では、現在の子どもや家庭をめぐる状況について、具体的な数字をあげて分析を行っています。この「調査研究」で述べていることなどを参考にしながら、学童を利用する児童数の増大について、少し書いてみます。

●女性の就業人口は、今後も増加が見込まれます。

総務省の「労働力調査」によれば、4~6歳児(末子)を持つ女性の就業率が約50%、7~9歳児で約60%、10~12歳児で約70%となっています。小学校低学年を持つ女性の中でも、働く女性の方が多数となっています。

女性が働くことに対する意識も大きく変わってきています。平成16年の、内閣府の調査では、以下のような結果が出ています。

「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」という人

  1992年-23.4% → 2004年-40.4%

「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び就業」という人

  1992年-42.3% → 2004年-34.9%

結婚、出産しても、女性が仕事を続けるということが、当たり前になってきていることがわかります。これは、2004年の数字ですから、現在では、もっと意識が変わってきているかもしれません。

●雇用形態や就業時間の多様化が進みつつあります。

上記の「調査研究」で、詳しく述べていますが、ここではいくつかの例だけをあげます。

6歳児歳児(末子)の母親の就業形態(H17)は、以下のようになっています。

正規-15.4%  パート-28.8%  その他雇用-3.8%

自営-6.3% その他-4.3% 無業-41.4%

これが、9~11歳児(末子)の母親では、次のようになります。

正規-19.8%  パート-35.8%  その他雇用-4.8%

自営-8.3% その他-4.3% 無業-26.3%

すべての雇用形態において、就業者が増えています。特に9~11歳では、正規雇用が約2割にまで増えています。

母親の就業時間を見ると、末子が6~8歳の母親でも、8~10時間働いている人が33.5%、10時間以上という人も5.2%います。

●家庭の養育基盤の低下が進んでいます。

核家族化がより一層進行し、一人親世帯も増加しています。

核家族      全国-73.4%   草加市-85.9%

母子・父子家庭 全国- 6.3% 草加市- 8.1%

特に、母子・父子家庭においては、保育園や学童保育がなければ、子育てと就労を両立させることが困難であり、学童保育のニーズが極めて高い層であると言えます。

  以上から、次のようなことが言えるのではないかと思います。

◆女性の就労人口の増加に伴い、学童保育のニーズは引き続き増加する。

◆核家族化の進行、保護者の雇用形態や就業時間等の多様化などにより、子育てのために、学童保育など家庭外の社会的な協力を必要としている家庭が増えている。

◆学童利用者が増加していると同時に、その中で、一人親世帯等の利用率が高まっている。

現段階でも、草加市の学童保育の大規模化の状況は、県内でも全国でもトップクラス(あまり誇れることではありません!)にあります。上で述べたように、女性の就労状況や核家族化の進行等の状況を考えると、さらに学童への入室希望者が増えていくことは、火を見るより明らかなことではないでしょうか。

草加における大規模化の解消は、もう、待ったなしの課題となっています。