総選挙で重視したいこと その②「政治とお金の問題」2009年08月20日 22時18分51秒

前回は、総選挙にあたって、「それぞれの政党がどういう立場で、誰に目を向けて政治を行おうとしているのか、誰の声を代弁して政治を行おうとしているのか」ということを、きちんと見極めることが大切であるということを書きました。

今日は、それに関連して、政治とお金の問題について書いてみたいと思います。

政治とお金の問題に関して、私が不思議でしょうがないのは、これまでにも政治家が絡んだ汚職事件、贈収賄事件が何回となく繰り返されてきたにもかかわらず、いまだに企業や団体からの政治献金が禁止されていないということです。

「政党への企業献金は、企業が行う社会貢献活動の一環だ」などと言う人がいますが、とんでもない話です。そんなに社会貢献をしたいのであれば、派遣切りなどのために住むところも働くところも失った人たちのための「年越し派遣村」などの活動にでも寄付をすればいいのではないでしょうか。

企業が政党に寄付をするのは、当然何らかの見返りを期待しているからです。政党の側からすれば、多額の献金をもらっている企業や業界の利益に反する行動を取るということは、極めて難しいだろうと思います。もし製薬会社から多額の献金をもらっているとしたら、その会社が引き起こした薬害に対して、きちんとした対応ができるでしょうか。自動車産業から多額の献金をもらっているとしたら、CO2削減のために、自動車から公共交通機関への転換を進めるというような政策を進めようとするでしょうか。実際には難しいだろうと思います。

今回の総選挙では、自民党中心の政治か、民主党中心の政治かということが騒がれていますが、どちらの政党も、企業から多額の政治献金を受け取っています。2007年度の実績で見ると、経団連加盟企業からの政治献金額は、自民党が29億1千万、民主党が8千万円となっています。(民主党が政権を取ったら、この献金額は逆転するのでしょうか?)

現在の経団連加盟企業からの献金は、経団連が行う各政党の政策評価に基づいて加盟企業が自主的に献金するという仕組みとなっています。つまり、いくつかの項目について、経団連から見て、ある政党の政策は「A+」、ある政党の政策は「D-」というように評価し、この評価に基づいて献金額を決めていくというものです。ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、「お金が欲しければ、我々(財界)から評価されるような政策を実行しろ」と政党に迫っているように見えます。

社会保障等の財源を問題とするときに、国民に負担を強いる「消費税の増税」ということは話題になっても、企業に負担を強いる「法人税率の引き上げ」「社会保険料の事業主負担分の増額」などについては、ほとんど話題にもならないのは、財界から政党にきちんとお金が行き渡っているせいなのではないか思えてなりません。もちろん、企業への負担といっても、中小企業についてはもっと支援する必要があるだろうと思います。莫大な利益を上げ、支払う力があるにもかかわらず、支払っていない(大)企業は、もっとその社会的な責任を果たすべきではないのかということです。

20年前のリクルート事件、その後の佐川急便事件、ゼネコン汚職事件から、最近の西松建設事件にいたるまで、政治と金をめぐる不透明さは、いっこうに良くなりません。財界や企業ではなく、国民にきちんと目を向けた政治を実現していくために、今すぐにでも、企業や団体からの献金をきっぱりとやめてほしいと思います。