外国籍児童にとっての漢字学習の困難さ。2007年05月28日 00時02分48秒

前のブログの続きです。

私は、今高校一年生を担任していますが、私のクラスにも、外国籍の生徒が3人います。一人は、日本で生まれ日本で育ったので、学習するうえで全く問題ありませんが、あとの2人は、小学校高学年の時に日本に来ているので、日本語は母語ではありません。もう4~5年日本にいるので、日常会話には全く問題はなく、日本人の生徒と一緒に冗談を言い合ったり、普通に高校生活を過ごしているように見えましたが、実は学習上非常に困難があるということが分かりました。

中間考査が近づいて来たときに、一人が、「先生、ノートの漢字が読めないので、教えてください」と言ってきました。先生が黒板に書くことは、きちんとノートに書いてあるのですが、実は、それは書き写しているだけであって、漢字が読めているわけではありませんでした。各教科のノートを、一緒に確認しましたが、本当に初歩的な漢字でも読めないものがあり、驚きました。読めても、意味がわからないものもありました。

外国籍の子ども達がこれだけ増えてくると、進学ということが大きな問題となります。その時に、ネックとなるのが、日本語、特に漢字です。私たちは、時々間違えながらも、当たり前のように漢字を使っています。外国籍の子どもを担任してみて、漢字の習得ということが、実は本当に大変なことなんだということを実感しました。

上は「うえ」、下は「した」と教えても、上下は「じょうげ」となりますし、上手は「かみて」、下手は「しもて」です。確かにこれでは、混乱してしまいます。先日、国語の試験監督をしていたら、「~を記せ」が読めませんでした。問題文が読めないのでは、解答のしようがありません。「これは『きせ』と読む」と教えたら、「『きせ』ってどういう意味ですか?」と聞かれてしまいました。これでは大変です。

いろんな国の子がいるし、一人ひとり状況も違います。その子その子にあった、きめ細やかなケアがなされなければなりません。「国際化」ということを声高に言っている割に、こうした外国籍児童に対する国や県の対応は、非常にお粗末だと思います。

教職員の熱意とボランティアの人たちの力に頼るしかないというのが現実だろうと思います。縁あって日本にやってきたこの子達が、日本で充実した時が過ごせるように、今後もみんなで協力していければと思います。

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