保育の会が、実践交流会でレポート発表2009年03月02日 21時59分44秒

きのう、嵐山の国立女性教育会館で開催された「埼玉県学童保育実践交流会」に参加してきました。

今回は、草加市学童保育の会が、父母会活動の分科会でレポート発表をするということで、保育の会の役員さんや事務所の専従さん達と一緒に、参加しました。総勢7名が、私の狭い車に、ぎゅうぎゅう詰めになりながら、嵐山に向かいました。

参加した分科会のタイトルは「一人ひとりを大切にする保護者会活動・父母同士の関わりづくり、そして連絡協議会づくり」というものでした。草加以外のレポーターは、ときがわ町と上尾市の学童の父母会でした。草加のレポートは、一つの父母会としての取り組みではなくて、草加市全体の学童保育の取り組み、基本的な理念などをまとめたものですので、かみ合った議論をするのがちょっと難しかったように思います。

今回のレポートをまとめるに当たっては、保育の会の役員さん達が何回も集まって、討議を行いました。そうして集団的に論議をし書き上げたものを、さらにメーリングリストで回覧し、加筆や訂正等を行い、練り上げて作ったのが今回のレポートです。自分たちの活動を文章としてまとめることを通して、自分たちの活動を見直すと同時に、これまでの歴史や経過などを調べる中で新たな発見もたくさんあったと聞いています。

このレポートは、現段階での「草加市学童保育の会」としての取り組みの到達点をまとめたものです。以下のページからレポートをPDFファイルで見ることが出来ますので、是非とも多くの方に、目を通していただければと思います。

なお、この実践交流会には、草加の指導員さん達もたくさん参加しています。いろんな分科会で、若い指導員さん達が、積極的に発言をしていたと聞いています。いろんなことをどん欲に吸収して、自分たちの学童での実践に活かしていってほしいと思います。

子どもまつり実行委員会が行われました。2009年03月08日 23時39分40秒

今日、勤労福祉会館において、「第23回草加子どもまつり第一回実行委員会」が行われました。今年で23回目を迎える「草加子どもまつり」は、草加市内で子育てに関わるさまざまな団体が集まって、年に一回、市内の小学校の校庭をお借りして実施しているものです。今年の「子どもまつり」は、5月10日(日)に、青柳小において開催されます。もちろん子どもが主役の行事ではありますが、実行委員会などを通して、大人同士が交流し、協力し合うということもとても大切なことだと思っています。

今日の会議の中で、実行委員長の金井さんがお話ししていましたが、今草加市内のいくつかの中学校は、とても「荒れた」状態にあるそうです。子ども達が「荒れる」のには、いろんな原因があるのでしょうが、一つには、子ども達を見守る地域の大人達のつながりが非常に弱く、希薄になっているということがあるのではないかと、私は思っています。子ども達を見守る大人達の関わり、地域の学校としてのその中学校を守り支えていこうという大人達のつながりが、いろんなところで幾重にも深く存在しているならば、たとえ一時(いっとき)学校が「荒れる」ことがあったとしても、必ずそれを克服し、建て直していくことができるのではないかと思います。

「最近の子どもは~だ」というような言い方をすることもありますが、生物学的に言えば、百年や千年で、人間(子ども達)が変わることはあり得ないわけです。子ども達が変わったとするならば、それは、子ども達を取り巻く社会や環境が変わったせいであり、その社会や環境を変えた責任は大人である私たちにあります。

小さな力かもしれませんが、「子どもまつり」のように、子ども達のためにということで、大人達が集まり、一生懸命に取り組み、その中で、お互いの関わりを深めていくということはとても大切であり、貴重なことであると思います。こうした取り組みを23年間続けているということは、本当に重要なことであると思います。

今日の実行委員会には、市内にある21学童の全ての父母会から、係となった保護者が参加していました。学童によっては、4~5名も参加していたところもありました。一学童の欠席もなく、全ての学童が参加していたのは、素晴らしいことだと思いました。実行委員会そのものは1時間足らずで終了しましたが、そのあとも、多くの学童の方が残って、各学童ごとに今後の取り組みについて熱心に相談を行っていました。

乳母車に乗せた1歳くらいのお子さんを連れたお母さんが、一番前の席で、一生懸命メモをとっていらっしゃったので、「学童の方ですか?」とお聞きしたら、「今年上の子が1年生で、学童にお世話になっています。この子(1歳くらいの子)との間にあと2人いるんですよ。」と明るく答えてくれました。全体の会議が終わったあとでも、ちょっとぐずって泣いているお子さんをだっこしながら、自分の学童の方達とずっと打ち合わせをされていました。これからの学童生活の中で、いろんな方とたくさんのすてきなつながりを結んで、豊かな子育てを、みんなと一緒に楽しんでいってほしいなと思いました。

「埼玉県子育て応援後期行動計画」への意見2009年03月11日 21時29分52秒

埼玉県は、現在「埼玉県子育て応援後期行動計画」を策定中です。埼玉県は、3月10日まで、県民の意見を募集していました。

意見を書かなければと思いつつ、いろいろな忙しさにかまけて書かないでいました。しかし、埼玉県連協の森川さんから、是非とも多くの意見をと何回もメールやファックスが来て、さすがに書かねばと思いました。最終日の10日に急いで書いて、以下の内容を県に送りました。十分な内容ではありませんが、とりあえずは声を上げるということが大切だと思います。

「2働きながら子どもを育ていている人のために(3)放課後児童クラブの充実」に関して
  1. 放課後児童クラブに対するニーズが増大し「大規模化」ということが大きな問題となっています。国も71名以上の「大規模児童クラブ」の解消を目指すという方針を掲げているところです。従って、「大規模児童クラブの解消を図る」や「児童クラブの規模の適正化を図る」といった項目、目標を掲げるべきだと思います。

  2. 児童クラブにおける「保育の質の向上」のためには、指導員の役割が極めて重要です。②で掲げられている「資質の向上を図るため」の取り組みは、当然必要なことですが、その人材を確保し、必要な人員を適切に配置できるかどうかということも大きな問題です。現在、慢性的な指導員不足に悩んでいる児童クラブが多数ありますが、その大きな原因は、児童クラブ指導員の専門性に比べて賃金が低く、労働条件が劣悪であるということがあります。また、指導員の配置基準が示されていないため、本来必要とされる指導員がきちんと配置されていないという問題もあります。指導員の配置基準の明確化と労働条件改善について、何らかの方針をしめしていただきたいと思います。
「3次世代を育む親となるために (3)学校教育の充実」に関して

「確かな学力の向上」のためには、「教育プログラムの開発」等だけでなく、教育条件を整備していくということが決定的に重要だと思います。フィンランドや全国学力テストで上位となった秋田県などの例を見るまでもなく、「確かな学力の向上」のためには、一人一人に少人数できめ細かな指導を行うことが決定的に重要だと思います。教育条件の整備、特に少人数教育が実現できるような教職員の加配、増員等について、一定の方向性を示すべきではないかと思います。

「4子どもが健全に育つまちづくりのために(1)地域の子育て力の向上」に関して

児童館を「地域における子どもたちの遊び場や親子一緒のグループ活動の場として」位置づけていますが、140箇所程度では、とうてい「地域における」活動の場などとは言えないのではないでしょうか。その位置づけにふさわしい整備計画をきちんと立てるべきだと思います。

「4子どもが健全に育つまちづくりのために(2)子どもの人権の尊重」に関して

「『児童の権利に関する条文』の普及啓発を図ります」とありますが、どのような普及啓発活動を行うのかを明確にすべきだと思います。日本がこの条約を批准して10年以上が経過していますが、その内容、精神については、一般の方々に十分浸透しているとは到底言えない状況です。「普及啓発」を本気で行おうと考えているのであれば、その意気込みと具体的な方針を示すべきだろうと思います。

子どもの権利条約に関する週刊新潮の記事2009年03月12日 23時23分07秒

今週号の「週刊新潮」で、「『子どもの権利条例』で日本は滅びる」という、悪意に満ちた記事が掲載されています。

この記事の趣旨は、以下のようものです。


近年いろんな自治体で「子どもの権利条例」の制定が進んでいるが、子ども達が、こうしたいろんな権利を「教育現場や家庭で振りかざしたら・・・。間違いなく、日本は滅」んでしまう。「条例が制定されれば・・・特定のイデオロギー色の強い人たちが子供をダシにして、自分たちの意見を押し通そうとする.このような事態に早めに対処しなければ、日本が滅びる危惧だってある。」


意図的とも思えるような論理のすり替えや、明らかな事実誤認もあり、あまりにも悪意に充ち満ちている記事であり、一つ一つ反論するのばかばかしいくらいですが、いくつか重要だと思われる点を指摘しておきたいと思います。

この記事の中でも指摘していますが、今日本各地の自治体で、「子どもの権利条例」の制定が進んでいる背景には、日本政府が1994年に、「子どもの権利条約」を批准したことです。「子どもの権利条約」は、1989年の第44回国連総会において、満場一致で可決され、翌1990年に発効した条例です。現在、この条約の締約国は193の国と地域におよんでいます。この条約の未締約国は、全世界で、アメリカとソマリアの2カ国だけです。この条約は、まさに「子どもの権利」に関しての、グローバルスタンダードだと言ってよいものです。

記事の中では、この「子どもの権利条約」に基づく「条例」を各地で策定していくということに関して、「こんな権利を子供が主張し始めたら、親はしつけなんかできなくなります」というような声を紹介しています。「子どもに権利なんか認めたら、子どもがわがままになるだけだ」などと言う意見もよく聞きます。しかし、こうした意見は、全く見当外れです。

「条約」というのは、国つまり日本政府が批准するものであり、基本的には、国と国どうしの約束事を定めたものです。ある「条約」を批准をするということは、その「条約」の内容に関して、国として責任を持つということを、対外的に宣言し約束をしたということです。

「子どもの権利条約」の根本的な精神は、「子どもの最善の利益をまもる」ということです。私たち大人がいろんな施策を行う場合に、まずなによりも次代を担う子ども達のことを一番に考えて、行動しなければならないということです。「子どもの権利条約」「条例」は、子ども達をわがままにするものだとかそういうものではなく、基本的には次代を担う子ども達に対する大人の責任を定めたものであると解するべきだと思います。

この記事は、各地で「子どもの権利条例」の制定が「燎原の火のごとく」広がっていることに対しての危機感から書かれているようです。しかし、なぜ、いま各地でこうした運動が広がっているのかしっかりと考える必要があります。「子ども達の最善の利益」が守られていない、子ども達が本当に大切にされている社会となっていないという現実があるからこそ、全国各地で「子どもの権利条例」制定の運動が広まっているのだと思います。

この記事では、「子どもの権利条約」や「条例」の中で、「子どもが遊ぶ権利」などが明記されていることも批判しています。子どもの遊ぶ権利を認めたら、子どもが勉強しなくなるとでも思っているのでしょうか。子ども達の成長や発達にとって、「遊び」が決定的に重要であるということは、子どもの保育や教育に関わる者であるならば誰もが知っていることです。豊かな遊びを幼年期に体験するということがいかに大切かということは、教育学や発達心理学などの研究を待つまでもなく、自明のことではないかと思います。

記事の中で、ある人が「そもそも国連の"児童の権利条約”は、子どもが蔑ろにされている国のためのものです。」と述べていました。この意見もよくある「批判」ですが、きちんとした事実に基づいたものであるとは思えません。いまや国際調査においてもOECD諸国の中で、日本の子どもの貧困率が上昇しているということが示されていますし、保険証を持たずに、安心して医療を受けることが出来ない子どもが3万3千人もいるということが明らかになったのもつい最近のことです。ここ何日かのテレビにおいても、経済的な理由で高校を中退せざるを得ない高校生が多数いるということが、報じられていました。

「先進国」ではありますが、その中で、本当に子ども達が大切にされているのかと言えば、必ずしもそうとは言えないのが日本の現実ではないでしょうか。こういう状況だからこそ、子ども達を本当に大切にする社会を作っていくための一つの方法として、「子どもの権利条例」制定の運動が全国で進んでいるのだと思います。

大宮で「反貧困駆け込み大相談会」が行われます。2009年03月14日 23時00分59秒

以前職場の同僚だった、白鳥さん(さいたま教育文化研究所 事務局長)から、次のようなメールが届きました。


みなさまへ お元気でお過ごしのことと思います。さて、埼玉でも3月中に1万人ほどの労働者が首切りにあうとされています。すでに「反貧困ネットワーク埼玉」にも行き場のない人たちが訪れ、緊急シェルター(常盤会館)に24人収容されています。添付資料のとおり「反貧困駆け込み大相談会」を3月21日、22日に大宮ソニック前鐘塚公園で開催します。多くのボランティアが必要です。ぜひご協力ください。


私が担任している生徒の保護者でも、首切りにあい職を失ってしまった方がいます。なかなか次の仕事を見つけることができずに本当に困っています。授業料の減免申請手続きのためすぐに事務室に行きましたが、今年度分はすでに終了し、来年分の申請となるということでした。今年度の未納分は何とか払わなければなりません。

経済的に厳しく、自分がバイトをしなければならないが、放課後は部活動をやっているため、学校が始まる前にファーストフード店でアルバイトをしてから登校する生徒もいます。

私の知り合いに、こんな人もいます。転職先から内定をもらい、転職先の会社の都合に合わせて、現在働いている会社の退職手続きを進めていたら、突然その転職先が内定取り消しを連絡してきました。退職の手続きを取り消すことができずに、結局職を失ってしまいました。

1年くらい前までは、「『貧困』なんていう言葉は、おおげさだなあ」と思っていました。しかし、この間、いろんな話を見聞きするうち、今の日本は本当に大変なことになっているのだと痛感しています。社会的なセーフティネットの再構築を早急に行わなければなりませんが、まずは、一人ひとりが身近で自分たちの出来ることから始めていくことが大切なのだと思います。