「常識」を問い直す2007年07月22日 22時48分16秒

最近読んだ本の紹介です。

池上彰さんが書いた「ニッポン、ほんとに格差社会?」(小学館)という本です。副題が、「最新データから見えてくる『日本の常識』ウソ、ホント30問」というものです。

池上さんは、「はじめに」の中で次のように書いています。


あなたが持っている「常識」は、実はあなただけの常識であって、日本の常識ではないかもしれない。世界の常識ではないかもしれない。日本人の多くが持っている常識が、そもそも間違った認識なのかもしれない。

そんな問題意識を持って、これまで私たちが漠然と思っていた「常識」のひとつひとつを、改めて検証したのが、この本です。

日本では「小さな政府」が叫ばれているけれど、日本はそもそも「大きな政府」なのでしょうか。

小泉内閣は「郵政民営化」を進めました。小泉総理は、「郵政民営化は、先進国なら当たり前なんです」と演説し、それが「日本の常識」になりましたが、本当なのでしょうか。

日本の国会の様子を見ていると、「日本の国会議員の数は多すぎるなあ」と思いがちですが、世界各国と比較すると、どうなのでしょうか。 (中略)

自分がいかに先入観にとらわれていたか。この本で、あなた自身の「常識」を検証してみてください。


ちなみに、郵政民営化については、結論として、次のように述べています。


「郵政民営化は先進国なら当たり前」という常識は、意外にそうではないのです。

アメリカは国営のままですし、カナダ、フランスは公社の形態です。

一方、民営化といっても、イギリスやニュージーランドは国が全体を保有していますし、オランダ、ドイツ、スウェーデンは部分的な民営化です。

郵政事業をある程度民営化していくという方針はヨーロッパ各国にあって、「部分的民営化」なら、先進国の常識と言っていいかもしれませんが、「郵政民営化は先進国なら当たり前」という議論は、いささか乱暴なのです。この「常識」は、結論としては、「△」なのですね。


日本の「国会議員の数は多すぎる」という「常識」も、実は「×」です。人口100万人あたりの議員数を見ると、日本が、5.7人なのに対して、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、スイス、オーストリアは、30人を超えており、イギリスが11人、フランスが15.2人、ドイツが8.2人となっています。先進国で日本より少ないのは、アメリカだけです。

私たちが持っている「常識」の中には、親やまわりの人から聞いて何となくそう思っていることもあれば、マスコミなどを通じて意図的にそう思わされていることもあります。やはり、この本のように、具体的なデータに基づいて、きちんと検証してみることが必要であると、つくづく思います。

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