「草加市元助役の収賄事件」に関連して~適切な「指示」を出すことは教師にとっても、上司にとっても重要!2010年08月02日 21時22分17秒

7月30日付の埼玉新聞と8月2日付の「東武よみうり」に、「05年草加市元助役の収賄事件」に関する記事が載っていました。2005年に、当時の助役が収賄の疑いで逮捕・起訴され有罪判決が確定していましたが、草加市として内部検証を行った結果、収賄の事実はなく、元助役を解職したことは誤りであったと、市長が定例記者会見で発表したということです。

「元助役の収賄事件」というのは、元助役が就任直後から「市の公共工事に絡み知り合いの業者の機器購入に便宜を図り、車購入のローン代計252万円を自分の口座に振り込ませた」というものです。公判では、元助役が「担当職員に便宜を指示したか、ローン代を賄賂と認識していたのかが焦点となり、結局、検察側が主張する賄賂性を認め、有罪」となりました。(「東武よみうり」8月2日付より)

草加市の内部検証では、元助役が便宜を指示した事実はなく、担当者が勝手に指示されたと誤認したとされました。また、元助役が業者に口座番号を知らせた事実はなく、口座管理の不十分性のために、賄賂性を疑われてしまったとしています。

すでに裁判において有罪が確定している事件に対して、行政として、その事件は実は無罪(ということはえん罪?)であったと発表することは、普通のことではないなと思います。

しかし、さらにびっくりしたことは、今回の件に関して、7月26日付で全職員に次のような留意点を通知したということです。その内容は、東武よみうりによれば、①上司の指示を自分勝手に判断しない、②口座管理を徹底する、などだそうです。

「口座管理を徹底する」などということは、市の職員をあまりに子ども扱いしているのではないでしょうか。また、「上司の指示を自分勝手に判断しない」などという通知を出すということは、「草加市では、上司の指示が部下に対してそんなにもちゃんと伝わっていないのか」などというあらぬ誤解を受けてしまうのではないでしょうか。

教員(指導員も)にとって、最も大切な技術の一つは、適切に「指示」を出すということだと思っています。いろんな子どもたちがいるわけですから、一人ひとりの受け止め方が違うし理解レベルにも差があります。大人数の子ども達一人ひとりがきちんと理解出来るように、適切に「指示」を出すことがきわめて重要です。教員の指示が曖昧であったり、不明確なものであれば、子どもたちは混乱するだけです。

行政内部で考えれば、上司の方が経験も知識もたくさんあるのでしょうから、部下が「勝手に判断」できないように、適切に「指示」を出すことが、上司に求められているのではないかと思います。

職員の質の向上は、いろんな経験や学習を積んでいく中でしか得ることができません。経験豊かな部下ばかりいるのであれば上司は楽でしょうが、新採用の職員や異動したばかりの職員なども、当然たくさんいます。部下の受け止め方や理解レベルに差があるということを前提として、誤解を生まないように、適切に「指示」を出すということが、上司に求められている能力であると思います。

今回の草加市の通知は、何かちょっとピントがずれているのではないかと思いました。

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