まっすぐ家に帰りましょう!?2007年02月11日 14時33分44秒

「平成18年度草加市地域子ども教室」の活動を紹介する「ここにもあるよ!子どものいばしょ」というカラー刷りのパンフレットが完成し、いろんなところで配布されています。今年度活動した8カ所が紹介されています。その中の「土曜のあそびクラブ」というところの紹介で、次のような文章があります。

「学校の帰り道、友だちとあそんで、まわり道して帰ったことが、もしかしたら大切な宝物になるかもしれないよ!」

「まっすぐ帰りなさい」と言っても、興味のあることがあれば、そちらに目が行ってしまうというのは、子どもにとって当たり前のことです。大人から見れば、無駄とも思えるようないろんな体験を通して子どもは育っていくのだと思います。「土曜のあそびクラブ」の方が書いていることは、本当にその通りだなあと思います。

しかし、この文章が、市の中で問題になったそうです。つまり、昨今いろんな事件があり、まっすぐ家に帰ることを指導しているのに、寄り道を奨励するような文章は困る、ということのようです。いろいろ論議があったようですが、最終的には、このパンフレットを配布するときには、必ず以下の注釈文を添えて配布すること、ということで決着しました。この文言がA4用紙に3つ印刷してあり、各団体は、それを切り取って、いちいちパンフレットに挟み込んで配布しなければなりません。

地域子ども教室事業は平成18年度で終了いたします。
 ご理解、ご協力をいただきありがとうございました。
 さて、昨今は地域で児童の安全・安心を守ることがますます必要になってきております。
 各小中学校では、通学路を通ってまっすぐに帰ることを指導しています。
 また、各小学校では集団登下校を行っておりますので、地域の皆さまには、この登下校の時間帯に合わせたウォーキングや犬の散歩、買い物などでご協力いただければ幸いです。
 保護者の皆さまには、お子さんと一緒に通学路を歩いて、どこが危険なのか、万が一に逃げ込む「こどもひなんじょ」や店舗などを確認していただければ幸いです。

この話を聞いて、「ちょっとおかしいなあ」と思いました。子どもの安全を守ることは大切なことですが、だからといって、子ども達の自由なあそび、好奇心などを摘んでしまうようなことをやっていたのでは、何のための子育て支援策なのかと思ってしまいます。「放課後子どもプラン」が、小学校内での活動を原則としていますが、これも、学校敷地内だったらとりあえず安全といったレベルで考えられているような気がしてなりません。

「知らない人に話し掛けかられても相手をしてはいけない」と言われている子どももたくさんいますが、これも、「これで良いのかなあ」と思ってしまいます。先日、冒険あそび場で聞いた話です。遊びに来ている子どもが、運営委員の大人に、「本当は、知らない人に話し掛けちゃいけないって言われているんだけどね・・・」と言いながら話し掛けてきたそうです。

子どもが犠牲になる事件が頻発している中では、なかなか難しい問題だということは分かります。しかし、「安全」ということと同時に、子どもが本当に健やかに成長していけるような環境とは何か、そのために、私たち大人は何をすべきかを真剣に考える必要があるだろうと思います。

簡単に解決できる問題ではありませんが、みんなで知恵を出し合って、いかなければなりません。ちょっと前に読んだ本で、大変参考になったのが、「犯罪は『この場所』で起こる」(小宮信夫著、光文社新書)と、この本の著者である小宮さんが監修した「子どもは『この場所』で犠牲になった」(別冊宝島)です。小宮さんの主張は、簡単に言うと以下のようなものです。

犯罪が起きやすい場所は、「入りやすく」「見えにくい」場所である。地域の中で、子どもが過ごす場所を、逆に「入りにくく」「見えやすく」すること、子ども自身に、「入りやすく」「見えにくい」危険な場所を見分ける力を付けていくこと、親も子どもも一緒になってこうした活動を行う中で、子どもを見守る地域の力を付けていくこと等が大切である。大人の中には変質者もいるだろうが、圧倒的に多数の人は子どもを守る側の人たちである。「知らない人から声を掛けられても返事をしない」ではなくて、「『入りやすく』『見えにくい』危険な場所で、知らない人から声を掛けられたら注意する。まわりに大人がいるような安全な場所で、声を掛けられたら、ちゃんと話をする。」という教え方をすることが大事なのではないかと思う。危険なときに守ってくれるのは大人なのだから。

まだ、小宮さんの本をお読みでなかったら、是非読んでみてください。大人への信頼を育てながら、当たり前のこととして地域全体で子どもを見守っていく体制を作らなければいけないなあと思います。

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_ gurukunNetwork - 2007年02月13日 16時20分22秒

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