来年度予算についての県福祉部、教育局との話し合い2009年11月12日 23時28分38秒

今日、来年度予算についての埼玉県福祉部、教育局との話し合いがありました。全県から、学童保育に子ども預ける保護者、指導員が180名以上参加しました。

以下は、大規模問題に関して、私が発言した内容です。5分以内でという制約がありましたので、なかなか具体的な話はできませんでしたが、とりあえず言うべきことは言えたのではないかと思っています。



草加市から参りました小池です。父母OBで、現在、市内で17カ所の学童保育を   運営しているNPO法人の代表理事をしています。学童保育の大規模化の解消、適正規模の実現に関連して発言したいと思います。

<学童保育の果たす役割>

ご存じだと思いますが、長期休みも含めると、学童で過ごす時間は学校で過ごすよりも長くなっています。家庭に代わるこの放課後の時間をどのように過ごすのか、学童保育での生活をどのように過ごすのかということが、その後の子ども達の発達、10年後、20年後の子ども達の育ちに大きな影響を与えのではないかと思います。

学童が大規模化し子ども達が劣悪な環境で過ごさなければならないということは、子ども達の家庭環境の何割かが劣悪であるということと同じです。子ども達の放課後の生活を劣悪なまま放置するということは、子ども達の未来にとって、そして社会にとって大きな損失である、そういう認識を持って、大規模問題の解消に取り組む必要があるのではないかと思います。

<よりよい保育のためには何が必要か>

では、よりよい保育を実現するためには、何が必要なのか。このことについては、さまざまな研究がなされ、行政も含めておおむね合意ができているのではないかと思っています。最低限、次の3つのことが必要だということは、誰もが理解できることではないかと思います。

①学童保育には、適正規模があるということ。指導員と子どもが信頼関係を結べ、なおかつ子ども自身がお互いを生活のメンバーとして知り合い、認め合える規模として、適正規模は40人以下であるということ。

②家庭に代わる「生活の場」としての機能が十分確保されるように、安全に、そしてゆったりと過ごすことのできる一定の広さを持った専用のスペースが必要だということです。

③常時複数の指導員を配置することが必要であるということ。さらに、子どもと安定的で継続的な関わりが持てるように、指導員が長く働き続けられる体制とすることが大切であるということです。

40人以下の規模、「生活の場」としての機能が果たせる専用のスペース、常時複数の指導員が配置され、長く働き続けられる体制を作る、この3つのことが、良い保育を実現するために、最低限必要なことだと思います。

<草加の学童の現場はどうなっているのか>

では、現場はどうなっているのでしょうか。草加の実態をお話ししたいと思います。21学童がありますが、そのうち71名を超えているのが12カ所。約6割(57%)の施設が71名を超えています。待機児童も多数生まれ、来年度は、3年生からも待機児が出るかもしれないという学童もあります。

少しでも良い保育をしたいという思いで、保育集団を小さくするために2クラス制などを行っています。草加市は、2クラス制の学童を学童2カ所分として報告していますので、草加市から県への報告では、草加の学童箇所数は33カ所となっています。つまり、補助金の対象としては33カ所となっているということですが、実際の箇所数としては21カ所となっています。

草加の場合、県への報告では、2010年問題(71名以上の学童には補助金を交付しないという国の方針)は、クリアーしているように見えます。しかし、実態としては問題は解決されていません。

施設に関して言えば、きちんと2つに分けることができないので集団が混じり合ってしまう学童、もう一つの部屋を横切らないとトイレに行けない学童、片方の部屋には、水回り(水道やガス)もない学童もたくさんあります。

指導員の配置については、草加の場合、2クラス制を取っている学童については、正規指導員3名分の人件費を出してもらっていますが、片方のクラスは、正規指導員1名体制でやらざるを得ません。土曜や休日出勤の振り替えなどがあり、正規指導員が1名休むと大変なことになります。

先ほど述べたよりよい保育を実現するための3つの条件に照らし合わせてみると、非常に不十分な状態であると言わざるを得ません。

<県にお願いしたいこと>

こうしたことから、私は、県に対して2つのことをお願いしたいと思います。

一つは、県として、学童保育を適正規模化して、よりよい保育を行うためには、最低限これだけは必要だということ(例えば、施設をきちんと分けること、水回りの問題、トイレの問題、指導員の配置の問題など)、その基準をきちんと示してほしいということです。大規模の解消ということは、とりあえず二つに集団が分かれていればいいというレベルの問題ではありません。子ども達の育ちをきちんと保障するという観点から、県として明確な基準を示して、市町村に働きかけていってほしいと思います。「あまりハードルを高くすると、かえって分割が進まない」という意見もあるかとおもいますが、子どもの育ちをきちんと保障するという観点から言えば、決して「高いハードル」ではないと思います。

二つ目は、それが実現できるような予算措置も含めて、できることを最大県努力していただきたいということです。県としては、今年度、独立施設整備費や余裕教室以外の改修費を予算化していただきましたが、さらに積極的に県としての補助額を増額したり、国の制度をもっとちゃんとするように国に働きかけたり、市町村にたいしても積極的に働きかけていってほしいと思います。

大規模化は、学童を破壊してます。大規模化では、学童の機能は果たせません。子ども達の未来のために、一歩でも前進していけるように、よろしくお願いいたします。