待機児解消に向けての草加市の回答から2010年06月12日 22時40分03秒

いくつかの児童クラブ(学童保育)において、学童に入れない待機児童が恒常的に発生していることから、草加市学童保育の会と新田児童クラブでは、草加市に対して、待機児対策、大規模化解消のために、要望書を提出していました。これらの要望書に対して、5月10日付で、草加市から文書で回答が来ました。

この回答の中で、次のような文言がありました。

「新田児童クラブに関しましては、2クラスの児童数が41名と37名であり、放課後児童クラブガイドラインで推奨する適正規模で運営されており、また、待機児童8名の全員が5、6年生の高学年であることから、このまま経過を見守る所存でございます。」

この文言をそのまま読めば、「高学年の待機児については、新たな対策を講じない」と言うことになってしまいます。もちろん、児童福祉法では、学童保育の対象児童を「おおむね10歳未満」としていますから、法律に違反をしているわけではありません。しかし、法律の文言は最低限の水準を規定したものであり、その後の施策の前進の中でより高い目標を目指ということが当然であると思います。

国が定めた「放課後児童クラブガイドライン」では、「子どもの安全の確保や発達状況を考慮して、必要に応じて10歳を超える子どもについても本事業の対象とすることが望ましい」としています。また、厚生労働省も、以下のように、平成13年と16年の通達において「4年生以上の児童も積極的に受け入れるよう配慮されたい」としています。

◆H13年12月20日通達-「放課後児童のおかれている実情を勘案し、小学校に就学している4年生以上の児童も積極的に受け入れるよう配慮されたい」

◆H16年9月21日通達-「平成13年12月20日雇児育発第114号本職通知により、小学校に就学している4年生以上の児童の積極的な受け入れにつき配慮方通知しているところであるが、今般、『少子化対策大綱』においても放課後児童対策の充実に取り組むとされており、この趣旨も踏まえ、引き続き4年生以上の児童の受け入れに配慮されたい。」

財政的な問題等もありますので、一気に実現することは難しいかもしれませんが、少なくとも、「必要としている4年生以上の児童についても受け入れができるように積極的に取り組んでいくことが必要である」ということに関しては、国としても明確に方針を示しています。草加市議会においても、2006年に、6年生までの学童保育入室を求めた請願署名が全会一致で採択されています。翌2007年度から、草加市としても、公立も含めて6年生までを入室対象とするということになったはずです。国の基準を超えて、積極的に学童保育施策に取り組んでいる草加市が、こういう回答をしてはいけないと思います。

「その必要性は認めるが、財政的な問題等があるので、すぐには実現できない。」ということと「このまま経過を見守る(つまり、新たな対策を講じる考えはない)。」ことの間には、根本的な違いがあります。

草加市としては、「いやそんなつもりはない。今後とも積極的に学童保育の前進のために一生懸命取り組んでいくつもりである」という考えかもしれません。私も、そうであってほしいと思います。だとするならば、そういう思いがきちんと伝わるような表現をきちんとするべきだったろうと思います。施設改善など、草加市としても一生懸命努力してくれているということをよく知っているだけに、今回の回答は、本当に残念です。

話は変わりますが、明日(13日)は、埼玉県連協の主催で、上尾市文化センターにおいて「学童保育と指定管理者制度を考えるシンポジウム」(13:15~17:00)があります。福岡県の宗像市と八王子市からの報告もあります。多くの方の参加をお待ちしています。