指定管理者の取り消し状況2007年09月24日 21時18分13秒

昨年度、総務省が全国の公の施設の指定管理者制度の導入状況について調査を行い、本年1月31日にその調査結果を発表しています。この調査結果については、以下のページで見ることが出来ます。

「公の施設の指定管理者制度の導入状況調査について」

この調査結果によれば、全国の市区町村では、公募により指定管理者を決定した割合は、わずか23.7%であり、ほとんどが「従前の管理受託者を公募によることなく選定」されています。指定された団体を見ると、市区町村では、株式会社等の営利企業が指定されたケースは12.3%(都道府県、政令指定都市を含めると11.0%)であり、財団法人・社団法人が28.2%、公共的団体が51.9%となっており、ほとんどが公的な性格を持った団体に指定されているということが分かります。

総務省のこの調査結果で問題なのは、各自治体から提出させた調査票には、「指定取り消日」「指定取り消しの理由」「新たな指定管理者を指定するまでの間の管理体制」等の設問があったにもかかわらず、公表された「調査結果」には、これらについて一切触れられていないということです。その後、労働組合や国会議員などからの要求があり、総務省は、7月になってから、やっと労働組合に対し「指定取り消しの状況」を明らかにしたということです。

営利企業の参入率は11%と低いにもかかわらず、指定取り消しされた団体のうち営利企業が占める割合は50%と極めて高くなっているということです。個々の事例を見てみると、詐欺行為が発覚し、告訴(7億3千万円の賠償請求)された例、経営破綻による倒産、儲からないからと「経営不振」を理由に辞退した例などが多く、極めて身勝手であり、企業の社会的責任が問われます。

しかし考えてみれば、営利企業であれば、自分の会社の経営を最優先するというのはある意味当然のことかもしれません。儲からないと分かれば、さっさと手を引くわけです。市民の税金で建てた施設の管理を、こういう営利企業にもまかせることができるという指定管理者制度そのものがおかしいといえるのではないでしょうか。

総務省の「指定取り消し状況」については、以下のページが参考になります。

総務省 指定管理者制度「指定取り消しの状況」を公表

指定管理者制度の抜本的な見直しを~指定取り消し結果から見えてきたもの