衆議院予算委員会で、学童保育について論議が行われました。2010年03月30日 11時07分54秒

2月26日の衆議院予算委員会第5分科会(厚生労働省所管予算)において、共産党の宮本岳志議員が、学童保育の問題を取り上げて質問を行いました。宮本議員自身がかつて二人のお子さんを学童保育に預けていたということもあってか、現場の声を踏まえたとてもよい質問をしています。また、長妻厚生労働大臣、山井政務官が答弁を行っていますが、国側の答弁も、現場の状況をよく理解している内容の濃いものでした。その一部を紹介します。



学童保育の位置づけについて

<宮本議員>

適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る、これが大切なところだと思います。ただ単に遊ばせておけばよいというものではありません。あくまで、保護者が仕事で昼間家庭にいない子供たちにとって、学童保育は生活の場であり、指導員はいわば親がわりの役割も負っているわけであります。だからこそ、ただいまと帰ってくればお帰りと迎え、親のかわりに一日学校であったことも聞く。これは、児童福祉法に定められた福祉事業であって、親にかわって生活の場を保障するかけがえのない事業だ、これは大臣、間違いないですね。

<長妻厚生労働大臣>

今言われた趣旨だと思います。保育所から小学校一年生になって、やはり親御さん、働かざるを得ない方、御心配だと思いますけれども、この放課後児童クラブはその延長線上にもある非常に重要なシステムだと思っています。


放課後子ども教室と学童保育事業の関連について

<宮本議員>

(1月29日に新政権のもとで閣議決定された「子ども・子育てビジョン」の中では、)放課後児童クラブと放課後子ども教室を連携して実施という表現になり、一体的という言葉が抜け落ちているわけです。実は、これは非常に大きな意味を持つことだと思います。(中略)今回の子ども・子育てビジョンでこの一体的という言葉が抜け落ちたことは、放課後児童クラブと放課後子ども教室という本来別々の意義を持つ事業は、連携は必要だとしても、まるで一体化してしまうかのような誤解を与えることのないようにするというふうに理解してよろしいでしょうか。

<山井大臣政務官>

これは、宮本委員御指摘のように、さまざまな議論があることは私たちも承知をしておりますが、プランの実施方法の趣旨を変更したものではないと私たちは理解をしております。そして、両事業を一体的あるいは連携して実施するかどうかは、地域の実情に応じて、自治体の判断により実施するものと考えております。宮本委員のおっしゃる意味は、よく理解をしております


指導員の仕事の専門性について

<宮本議員>

(放課後児童クラブガイドラインの中の放課後児童指導員の活動について、)今、七つ読み上げていただきましたけれども、本当に専門的で、そしてやはり相当大きな役割が求められているわけです。児童虐待の早期発見に努め、児童虐待等により福祉的介入が必要とされるケースについては、きちっと関係機関にも連携してそれに対応するということも求められるわけですね。まさに、学童保育指導員は、昼間家庭にいない保護者にかわって、いわば親がわりの役割をも果たさねばなりません。だからこそ、ガイドラインにも、放課後児童指導員としての資質の向上ということがきちんと掲げられております。つまり、全児童対象の放課後子ども教室における指導者と違って、特別の専門性が求められる、これは明瞭なことだと思うんですけれども、大臣、この点の御確認をお願いしたいと思います。

<長妻厚生労働大臣>

これは確かに、余り御存じない方は、子供と遊ぶ方だという認識程度の方もいるかもしれませんけれども、小学校一年から三年ぐらいの子供を、本当に親がわりで、今言ったような非常にデリケートな心を持っておられる時期でありますので、非常に専門的な知識も必要だ、大変な仕事だと一言で言えば思います。


指導員の継続雇用について

<宮本議員>

2006年3月15日、衆議院厚生労働委員会で、当時の川崎厚生労働大臣は、放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員にはできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要だと答弁されております。(中略)新しい政権の長妻厚生労働大臣、この立場に変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。

<山井政務官>

大臣の前に、私も一言。なぜかといいますと、川崎大臣に質問をしたのは私でありますので。当時から、宮本委員御指摘のように、やはり専門性を持ってもらうためには継続した雇用が望ましいというふうに私自身も思っております。やはり、長妻大臣からも御指摘ありましたように、ただ単に遊ぶだけではなくて、子供にとってはすごく重要なひとときを過ごすわけでありまして、小学校の時間よりも逆に学童クラブの時間の方が夏休みも入れると長くなっていますし、子供にとっては、かた苦しい授業というのを超えて、本当に先ほどおっしゃったようなオアシスを提供する、そういうさまざまな、ある意味で学校の先生にまさるとも劣らない専門性というのがこれから必要となってくるのではないかと思っております。

<長妻厚生労働大臣>

川崎厚生労働大臣の議事録も拝見しておりますけれども、基本的には立場は変わっておりません。(中略)いずれにしても、継続的な勤務、そして専門性、知識の向上ということについては、今後とも我々としては進める立場にあるということです。

<宮本議員>

財団法人こども未来財団が発表した放課後児童クラブにおけるガイドラインに関する調査研究というものについて当時の厚生労働省の村木さんが、こども未来財団の調査研究報告、大変いい内容でございまして、私どももこれをしっかり参考にしてガイドラインをつくりたい、こういうふうに答弁しておるんです。これは政務官でいいですけれども、事実ですね。

<山井政務官>

宮本委員御指摘のように、子供と安定的に継続的なかかわりを持てるように配置されることが求められるという、このような記述、これはまさにこれからも守るべきであると思います。私の地元でも、学童クラブの指導員の方が、非常にすばらしい指導員さんだったんですけれども、やはり余りにも雇用が不安定で先が見えないということで、その仕事は好きだったんですけれども、泣く泣くほかの仕事に転職されてしまったという本当に残念な残念なケースがあって、子供たちも大変悲しんだというケースもありますので、やはり、継続して、プロの仕事としてやっていけるようにしていかねばならないと思っております。


このような突っ込んだ議論が国会の場で行われているということは、大変に心強いことです。質問および答弁の全文については、以下のページで見ることが出来ます。

第174回国会予算委員会第5分科会(2010年2月26日)