「食堂かたつむり」を読んで~人と人との関わりの中でこそ~2010年03月06日 23時43分22秒

今回も本の紹介ですが、今回は小説です。

タイトルは「食堂かたつむり」、すでに読んだという方も多いかもしれません。

柴咲コウさんが主演で映画化されたということで、時間があれば読んでみたいなと思っていました。先月、福岡に行くときに、東京駅の本屋さんで山積みされていましたの、買おうかなと思った一瞬思ったのですが、行き帰りで読みたい本(渡辺治さんや二宮厚美さんが書いた「新自由主義か新福祉国家か」)があったので、また今度にしていました。たまたま、職場で隣の人が読んでいました。私が「いきものがかり」のCDを貸してあげたら、お返しにということで貸してくれました。心温まるお話で、最後の方は、おもわず涙してしまいました。

調理師をめざしていた主人公は、恋人を失ったショックで「声」を失ってしまいます。しかし、「食堂かたつむり」を開き、村の人の協力も得て、いろんな人に料理を作る中で、食べてくれた人に幸せを提供すると同時に自分の心も癒されていきます。

食材は、それをはぐくむ自然やそれを育てる人がいなければ、私たちの手元には届きません。そういう意味では、私たちがいろんな食材を使って食事を作りそれを食べるということは、そのことを通して自然やたくさんの人たちとつながっていくことなのだろうと思います。食材をはぐくんできた自然やそれを育てたり、私たちの手元に届けてくれたたくさんの人たちに感謝しながら、家族や仲の良い気が置けない友達と一緒に楽しく食事をするということは、実は私たちが生きていく上でとても大切なことなのではないかと思いました。

主人公が、「声」を取り戻すことができたのは、深い愛情を持って彼女をやさしく支えてくれる多くの人たちがいたからです。この間紹介してきた「犬として育てられた少年」も「私は学童保育指導員」もこの「食堂かたつむり」も、実は同じことを別の角度から言っているのではないかと思います。愛情あふれる人と人との関わりの中でこそ、人間は成長していくことができるということだと思います。

時間ができたら、柴咲コウさん主演の映画「食堂かたつむり」も見てみたいと思います。