NHKの新番組「そりゃあんまりだ!」を見て ― 2009年04月25日 22時58分47秒
NHKで、「そりゃあんまりだ!」という新番組がスタートしました。NHKらしからぬと言おうか、なかなかユニークなネーミングの番組です。
番組の紹介を見てみると、次のようなことが書いてありました。
「今、日本列島をおおうそりゃあんまりだという声、この番組は、その声を出発点に番組を作ります。」
「みなさんの声をもとに『雇用・格差・医療・介護・教育』などの問題点を見つめる情報番組です。リポーターによる現地取材をもとに、キャスター、ゲスト、専門家が、その問題に対してどうしたらいいかスタジオで討議します。」
例として、次のようなセリフが載せてありました。
「大量で魚が大暴落!漁に出ても大赤字!」「かかりつけの病院が閉鎖!」「介護の基準が変更。ヘルパーがもう来ない!」「リストラにあって子供が学校に通えない!」「苦労して育てた野菜を利益0円で出荷!」「財政難で小学校が統廃合。通学時間が2時間半に!」
まさに今の日本が抱える深刻な問題ばかりです。誰もが感じている「そりゃあんまりだ!」という思いをくみ上げ、よりよい社会に変えていくための力となるような番組となっていくことを期待したいと思います。
第一回目のテーマは、「お金がないと学べない?」というもの。日本では、教育にかかるお金が非常に高く、現在の経済危機の中で、授業料が払えず高校や大学に通えないという子どももたくさん生まれています。そういう実態をていねいに、まじめに取り上げた番組となっていました。
印象に残ったのが、 橋下大阪府知事の言葉です。橋下知事は、教育費削減や府立高校の統廃合をやめてほしいということを訴える「大阪の高校生に笑顔を下さいの会」の高校生達に対し、次のようなことを言いました。
「まず一番やらなきゃいけないのは、大阪の借金を止めること。君たちが大阪を背負って立つときに、自分たちで自分のお金、税金の使い道がちゃんと自分たちで決められるような大阪にするために、僕も含めてだけど、みんなで我慢するところは我慢して・・・」
別の番組(日テレの「ドキュメント09」)で見たのですが、彼は、このときに次のようにも言っています。
「だけどね、いいですか。今の日本は、自己責任がまず原則ですよ。誰もそれを救ってくれない 。」(「その原則がおかしいです」という高校生の声。)「それは、じゃ、国を変えるか、この自己責任を求められる日本から出るか、国を変えるしかない。」
大人として、政治家として、このような発言を高校生に対して行うということは、信じがたいことです。子ども達にとっては、「今」学ぶ場があるかないかということが大きな問題なのに、将来のために「『今』を我慢しろ!」というのは、全くおかしな話です。しかも、借金を作ったのは大人の責任であって、子ども達にはその責任はありません。
「自己責任の原則が気に入らないのなら、国を変えるか、日本を出て行くか、どちらかにしろ」というのも、ひどい発言です。家が経済的に苦しいというのは、親の「自己責任」だけで片付けられる問題ではありません。そもそも、「経済的に苦しくて、高校や大学に通えない」ということは、高校生達自身が「自己責任」を問われなければならない問題ではないでしょう。
もちろん契約行為など自己責任が求められることは当然ありますが、福祉や教育、医療など人間が生きていく上で絶対的に必要な分野においては、「自己責任」などということを問題にしてはならないと思います。どういう事態になっても、何の心配もなく、誰もが一定程度の福祉や教育、医療を受けることのできる社会をこそ、私たちは、目指すべきなのではないかと思います。
60年以上も前に作られた憲法(25条)にもそのことが書いてあります。日本国憲法は時代に合わないから、憲法を改正しろという人もいますが、今必要なのは、憲法の改正ではなく、憲法の中に込められた理念を現実の社会の中で実現していくことではないかと思います。
「そりゃあんまりだ!」の番組の最後で、日本の「教育への公的支出(対GDP比)」が、わずかに3.4%であり、OECD加盟国の中で最下位(OECD平均は5.0%)であるというグラフが示されていました。私は、50年後100年後の日本を見通したとき、日本が一番大切にしなければならないのは、「人的資源」ではないかと思っています。日本が、このまま「子ども達の教育にお金をかけない」国であり続けようとするのならば、本当に日本の未来はないな、と思います。
ある意味、橋下知事が言っていることは正しいのかもしれませんね。今こそ、日本を、「子どもを大切にする国」に変えねば!

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