柏木惠子さんの講演会のお知らせ2009年02月08日 22時59分00秒

草加市で行われる講演会のお知らせです。




「子どもの育ちに本当に必要な環境って何だろう?」
~子どもが育ち、親も育つことができる社会を~

講師:柏木惠子氏(東京女子大名誉教授)

日時:2月11日(水) 14時~16時半

場所:草加市立中央公民館 第一・第二講座室




柏木惠子さんの著書については、以前ブログで紹介しました。とても良い話が聞けると思いますので、興味がある方は是非ともお越しください。

この講演会が開かれることになった経過について少し説明します。

私も所属している「NPO法人みんなのまち草の根ネットの会」が、2007年1月の「みんなでまちづくり会議」(「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」に基づく会議)において、「子どもにやさしいまちづくりをすすめるために、草加市に子どもの権利に関する条例を制定すること」という提案を行いました。

この提案に対して、草加市は、2007年4月の「みんなでまちづくり会議」において、「子どもにやさしいまち作りを進めるために、条例制定の必要性なども含め幅広く論議する場を設けていきたい。」と返答しました。同年7月の会議においては、「幅広く論議する場を設ける」ということに関して、さらに詳しく年度ごとの計画を示しました。この「幅広く論議する場を設ける」ということの一環として、今回の講演会が開かれるものです。

来年度は、いよいよ「検討委員会の立ち上げ、条例制定について検討する」という予定となっています。草加市を、本当に「子どもにやさしいまち」にしていくために、今年はとても重要な年となっています。是非とも多くの方が、この講演会に参加されることを願っています。

埼玉県の学童予算が大幅増!施設整備は5倍に!2009年02月22日 09時39分33秒

2月16日(月)に、来年度の埼玉県予算(案)が、発表されました。

一般会計の総予算は1兆6,959億5,100万円、対前年比でマイナスの1.3%となっています。福祉部の予算は1,360億8,726万円、対前年比でプラス1.3%の微増となっています。

総予算でマイナス、福祉部の予算で微増という中で、学童保育(行政用語としては「放課後児童健全育成事業」)に関する予算が大幅に増えているのが特徴です。

学童関連の予算は、249億8,642万円となっています。今年度の予算が約180億円でしたから、金額で約70億円の増、率では38.6%の増となっています。

特に、施設整備予算の伸びは目を見張るものがあります。今年の施設整備費は、約11億円だったのに対し、来年度は56億2,020万円、金額で約45億円の増、率では401.9%の増(約5倍)となっています。

施設整備費の中身は、(ア)「新設による整備」、(イ)「余裕教室改修による整備」、(ウ)「単独施設等の改修による整備」の3つに分かれます。(ア)の補助基準額は約2,100万円(今年度は1,250万円)、(イ)と(ウ)の補助基準額は700万円となっています。埼玉県は、学童保育の施設整備に関しては、空き教室利用を優先するということで、今年度までは「単独施設等の改修」については予算化をしていませんでした。今回、(ウ)の「単独施設等の改修による整備」を予算化したということは非常に大きな意味を持つものです。また、(ア)「新設による整備」の補助基準額がほぼ倍となっているということも重要です。

この施設整備に関する予算について、埼玉県(少子政策課子育て環境整備担当)は、次のように説明しています。


事業実施環境の変化

厚生労働省は、児童の生活環境改善を各自治体に促すため、入所児童71人以上の大規模学童クラブの運営費について、平成22年度以降は補助対象外とすることとしている。 このため、平成22年度以降も運営費補助を受けるためには、平成21年度中にクラブの分割や新設など施設整備を集中的に進め、適正規模へ移行することが求められている。

補助対象の拡大

大規模クラブから適正規模へ移行を促進するため、余裕教室以外の改修による整備及び新設による整備を新たに補助対象とすることとした。


今回の予算(案)を見ると、大規模化の解消、分割・新設の促進に向けて、埼玉県としても理解を示し、かなりの努力をしているということが言えるのではないかと思います。担当課を始めとした埼玉県行政の方々のご努力に心から敬意を表したいと思います。 もちろん、こうした県側の努力を後押しし支えているのは、県連協を中心とした、現場の父母指導員の地道な運動であろうと思います。

今回、県としてそれなりの姿勢を示したわけですから、この予算を受け、具体的に学童保育施策を前進させていくことができるかは、各地域での主体的な運動にかかっているのではないかと思います。大規模化を解消し、より良い保育を実現していくため、草加でも引き続き頑張っていきたいと思います。

「安心子ども基金」などについて2009年02月22日 22時03分33秒

予算関係の情報の付け足しです。

国の今年度第2次補正予算の中で「生活対策」の一環として、「安心子ども基金」(1,000億円)というものが設けられました。この「生活対策」は、「現下の金融、経済情勢に対する国民生活の安全保障として策定されたもの」であると説明されています。

この「安心子ども基金」の事業内容の一つとして、「放課後児童クラブ設置促進事業」が含まれています。国の説明では、「小学校内等において教材等の保管場所として使用されている空き教室等を放課後児童クラブとして使用するために必要な建物の改修、倉庫設備の設置を行うための経費の補助」であるということです。

すでに補正予算で決定されていながら、まだ国から補助単価などが示されていないため、県としては現段階ではまだ具体的な作業に入ることは出来ないということですが、6月県議会までにははっきりしてくるものと思わます。大規模化解消、施設整備のために使える可能性があります。

また、予算関連ではありませんが、「空き教室」利用の推進に関して興味深い「通知」が出されています。

普通教室として使っていない教室があっても、他の目的で使用しておりそれは「空き教室」ではないとして、学童保育室などとしての使用を許可してもらえないケースも多いわけですが、こうした問題に関しての「通知」です。「通知」の中で次のように述べています。


子ども達の多様な活動の場が確保できるよう、学校教育に支障が生じない限り、普通教室として使用しなくなった教室、体育館、図書館等の学校施設の有効活用が図られるようにすること。その際、過去に普通教室として使用しなくなり、現在何らかの活用を行っているものについても、「放課後子どもプラン」としての活用ニーズがある場合には、その活用を図ることができないか検討すること


普通教室として使っている教室以外は、できる限り「放課後子どもプラン」(「放課後子ども教室」と「学童」の両方の事業を含んでいます)で使えるようにしてほしいということが趣旨ではないかと思います。今後の市との話し合いなどで、使える資料だと思います。

全文は以下のページで見ることが出来ます。

普通教室として使用しなくなった教室の「放課後子どもプラン」への活用について(通知)

なお、「放課後子どもプラン」については、以下のページにさまざまな資料や事例が紹介されています。

放課後子どもプラン

「菜の花畑の笑顔と銃弾」~アフガンで死んだ伊藤さんの思い2009年02月28日 23時19分54秒

最近見た、テレビ番組の感想、紹介です。

番組名は、NHKスペシャル「菜の花畑の笑顔と銃弾」、昨年8月、アフガニスタンで拉致、殺害された伊藤和也さん(31歳)を取り上げた番組です。

伊藤さんが亡くなった後、彼が使っていたパソコンが家族の元に届きました。その中には、彼がアフガニスタンで暮らした5年間の間、撮影してきた3,000枚にも及ぶ写真がありました。家族でさえ知らなかった5年間の記録です。

伊藤さんがいた村の雑貨屋には、今も伊藤さんの写真が飾られています。その写真には、「日本のヒーロー」と書かれてありました。なぜその写真を飾っているのかと尋ねると、「村人達がみんな写真を見たがるから」「彼は村を愛しつくしてくれた」「私たちの兄弟みたいだった」とお店の人は語ります。アフガニスタンの人たちのために一生懸命働いた伊藤さんが、なぜ銃弾により非業の最期を遂げなければならなかったのか、村の人たちにとっても彼の死は、深い悲しみを与えるものでした。

農業短大を卒業し、「アフガニスタンを緑豊かな国に戻すお手伝いをしたい」という思いで、伊藤さんはアフガニスタンに向かいました。彼が参加したのは、医師中村哲さんが率いている「ペシャワール会」です。中村さんは、干ばつのアフガニスタンを救うのは銃ではなく、まず「パンと水」であると考え、全長23キロにも及ぶ用水路を建設し、砂漠を農地に変えるという壮大な計画「緑の大地計画」を構想し、実行に移しています。

伊藤さんは、最初にこの用水路の建設に携わり、最初の2キロが完成した後、農業の知識を活かすため試験農場に移りました。そこで、乾燥した大地で育つ作物の研究を4年間行っていました。何回も失敗を重ねながら、次第にアフガニスタンに適したサツマイモなどを作ることが出来るようになりました。

荒れ地は、伊藤さんが来て3年後には、きれいな菜の花畑になりました。菜の花は、豊かな天然の肥料となります。彼が撮った写真の中に、一面の菜の花の中で女の子が微笑んでいる写真があります。

伊藤さんが撮った写真は、最初はアフガニスタンの風景、その後は苗や植物の写真がほとんどでしたが、しだいにアフガニスタンの子ども達の写真が増えていきます。子ども達にも親しまれ、しだいに村人の中に溶け込んでいきました。

こうした中、自衛隊によるインド洋上での給油活動が継続されることになり、日本は、アフガニスタンを爆撃するアメリカの協力者であると考えられるようになりました。アフガニスタンでの対日感情は悪化していきます。伊藤さん達も、安全のために、トラックに付けていた日の丸を削らざるを得ませんでした。

米軍の誤爆により、民間人の死傷者も出るようになり、外国人に対する反発も強くなり、治安も悪化してきました。伊藤さん達も、暗くなってからの作業は危険だということで、夕方以降は現地の人たちに仕事をしてもらうようになってきました。

昨年8月26日、護岸工事の現場に向かう途中、伊藤さんは武器を持った男達に拉致されてしまいます。拉致されたと知り、村人達は伊藤さんを救おうと、後を追いかけましたが、間に合わず、射殺されてしまいました。伊藤さんの葬儀には、村人1.000人以上が集まりました。「自分の息子を失ったような気持ちだ」「伊藤のことは一時も忘れられない」と村人は語ります。

「緑の大地計画」は、残りあと2キロとなっています。オバマ新大統領は、イラクからは米軍を撤退させるとしているものの、アフガニスタンに対しては逆に兵力を増員するとしています。中村哲さんは、米軍の増強が、新たな混乱を招くのではないかと懸念して、用水路の完成を急いでいます。中村哲さんは、日本人の若者を全て帰国させ、一人で用水路工事の監督を行っています。おそらく、新たな若者の犠牲者を出したくないという思いからなのでしょう。自ら、重機も運転し作業を続けています。

淡々とした映像、語りなのに、なぜか胸が締め付けられ、思わず涙してしまいました。「テロと戦い平和を守る」という戦争が、治安の悪化を招き、結果として、アフガニスタンを救いたいというひとりの日本人青年の命を奪ってしまったと言ったら言い過ぎでしょうか。

公然と、人と人とが殺し合うという「戦争」というものを、本当にいい加減やめてほしいとつくづく思います。軍事力の増強や戦争によっては、真の平和は実現できないということを、もういい加減、人間は学ばなければなりません。