「ヒューマン なぜ人間になれたのか」を見て。2012年02月04日 23時00分17秒

いまNHKスペシャルの4回シリーズで、「ヒューマン なぜ人間になれたのか」という番組が放送されています。番組ホームページによれば、「人間とは何か。人間を人間たらしめていているものは何か。私たちの誰もが内に秘めている“人間らしさ”の起源を20万年という人類史のなかに探るシリーズ」です。現在までに、第2回まで放送されていますが、大変興味深い内容です。

「人間を人間たらしめているものは何か」という問いに対し、第1回の「旅はアフリカから始まった」では、「仲間や他者と協力する心」であるとしています。こうした心を持っている者だけが、厳しい自然や危機を乗り越えることができました。つまり、私たちは、「仲間や他者と協力する」ということをそのDNAに刻み込んだ子孫だというのです。

人類(ホモサピエンス)の歴史は、20万年と言われていますが、そのうちの四分の三は、アフリカにいました。アフリカでは今、人類史を塗り替える発見が相次いでいます。南アフリカのブロンボス遺跡では、10万年前の地層から、人類最古の装身具と思われる貝殻で作られた首飾りやお化粧のための材料などが発見されています。

ナミビアのカラハリ砂漠に住むサン族は、現在でも、ブロンボス遺跡で発見されたものと同じような首飾りをたくさん持っています。サン族は、3世代約20名の家族で暮らしています。サン族にとって、首飾りは自分で作るものではなく、いろんな人から贈られるものです。たくさんの首飾りをしている人は、それだけ仲間が多いということであり、困ったときはいつでも助けてもらえるということです。生後3ヶ月を過ぎると赤ちゃんは、最初の首飾りをもらいます。首飾りを贈るということは、共に生きていこうとする心の証です。首飾りを贈ることで、お互いを協力し合う大切な仲間だと確かめ合っていました。顔に色をつけるという「お化粧」も、自分を美しく見せるためのものではなく、同じ化粧をして、同じグループの仲間だと確かめ合い、絆を深めるために行うものでした。「おしゃれ」は、当時の人々が、仲間と協力する心を大切に生きていたという証拠でした。

今から7万4千年前、他人との協力なしに生き延びることができない、そんな危機が、私たちの祖先を襲ったという説があります。インドネシアのスマトラ島で、島の西側にあるトバ火山が激しい噴火を始めました。噴火は次々と拡大し、長さ100キロ、幅30キロに達しました。過去10万年間で最大の超巨大噴火でした。火山噴出物はおよそ10日間で、地球を1周しました。日の光が遮られ、地球全体の気温が低下し始めました。噴火からおよそ2年も経たないうちに、年平均気温が12度も低下しました。気温低下により、植物が枯れていきました。植物がなくなるとそれを食べていた動物も姿を消しました。祖先達の食料も底をつきました。このとき、ほとんどの人間が死に、一握りの者だけが生き延び子孫を残しました。

危機を乗り越えることができたのは、血縁を超えた協力関係を広げることができた人達でした。少ない食べ物を独占し、協力関係を広げることを拒んだ人達は、結局生き延びることは出来ませんでした。危機の時代、助け合った人達の方が生き残りました。私たちは、この「血縁関係を超えた協力関係」広げることができた人間の子孫なのです。

人間とは、そもそもその歴史を見ても、「協力する生き物であり、そして新たな協力の形を模索する生き物」であるということをきちんと確認することは、きわめて重要なことです。

学童保育の活動においても、人と人とのつながりを大切にして、父母会の活動などを進めていくということは、本当に大切なことです。人類の本質から言っても、そのことが求められています。誰一人相談する人がいないという中で孤立した子育て(「孤育て」)をするということは、そもそも人間の本質から外れているのだと思います。「孤育て」をなくすために、地域の中に確かな人のつながりを作っていくことが必要なのだと思います。

小山児童クラブ開室30周年記念式典に参加してきました。2012年02月11日 23時54分30秒

今日の午前中は、小山児童クラブの30周年記念式典があり、参加してきました。会場の体育館に入ったら、美しいバイオリンとハープの調べ。CDかなと思ったら、生演奏でした。あとで伺ったら、学童の保護者で、ご夫婦で音楽家という方が演奏されていたということでした。

第一部は、体育館で記念式典でした。校長先生、PTAの副会長さんからのご挨拶も頂きました。忙しい合間を縫って練習したであろう、在室児と父母による合唱、在室児による群読は素敵でした。ちょっと失敗して照れている子どもたちの様子もとてもかわいらしかったです。転勤したOB指導員のあいさつ、30周年を振り返っての保護者(12年間在室)のあいさつは、これまでのさまざまな思い出や苦労などが忍ばれ、胸を打つ内容でした。

第二部は、場所を保育室に移動しての祝賀会でした。在室児童が日頃の学童での遊びを披露してくれました。卒室した児童もたくさん来てくれていました。本当にたくさんのごちそうが用意されていて、おいしく頂きながら、楽しい時を過ごすことができました。

昔一緒に活動した父母やOB、元指導員の先生にも久しぶりに会うことができ、とても懐かしく、うれしく思いました。また、まだ2年目という新人指導員さんが、とても元気に、楽しそうに子どもたちと接している姿を見て、安心もしつつ、大変心強く感じました。

こうした会を企画し準備するのは本当に大変だったことと思います。小山児童クラブの皆様、本当にありがとうございました。

第7回子育てシンポジウムを開催しました。2012年02月19日 21時54分18秒

今日、獨協大学において、草加市学童保育の会と草加・元気っ子クラブの共催で、第7回子育てシンポジウムを開催しました。

今回のテーマは、「学童保育のたからもの~つながりがはぐくむあそびと笑顔」でした。今の社会の中で、子どもの育ちにとっても親にとっても、学童保育は非常に大切な意味を持っているのだということをみんなで、確かめ合えたらと思っています。 今の社会の中で、子どもの育ちにとっても親にとっても、学童保育は非常に大切な意味を持っているのだということをみんなで、確かめ合えたらと思い、こうしたテーマを設定しました。

メインの講演は、全国連協の副会長である、河野伸枝さん。さまざまな困難やストレスを抱えている一人一人の子どもや保護者の思いに寄り添った感動的な実践報告でした。現場からの報告として、八幡北児童クラブの指導員、青柳児童クラブ保護者からの報告がありました。お二人とも、テーマの内容に沿ったすばらしい報告でした。

市内の保護者、指導員だけでなく、河野さんの講演を聞こうと、他市他県からの参加者も多数ありました。今度の4月から、元気っ子クラブの正規指導員として働く新人指導員も、何人か参加していました。全体で約300名が参加しました。学童保育の持っている価値を改めてみんなで確認することができたシンポジウムでした。

「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」が設立されました。2012年02月20日 21時10分26秒

2月14日、国会内で、「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」が設立されました。会長には、私たちの地元草加・越谷選出の細川律夫衆議院議員が就任されました。幹事長には、自民党の馳浩衆議院議員、副会長には、民主党、自民党、公明党、共産党、みんなの党から9名の議員が就任されました。

まさに超党派の国会議員が、学童保育の「抜本的拡充」をもとめて議員連盟を結成したということは、本当に画期的なことです。

会長に就任した細川律夫衆議院議員は、一昨日行った「第7回子育てシンポジウム」に来賓として参加され、挨拶の中で、この議員連盟のことにも関連して次のように語っていました。

「学童保育については、法的なものもしっかりせずに、少し整備も出来ていないということもありまして、政府の方でも、あるいは国会議員の方でも、この学童保育をしっかりとやっていかなければというのが今の状況でございます。今年は、政府の方では、子ども・子育て新システムに基づきます、いろんな施策が出て参ります。その中で、学童保育の問題も出て参ります。その中では、学童保育については、これまで3年生以下が対象でありましたけれども、4年生以上も対象にするということをしっかりと法律に明記をする。また、各市町村において、学童保育の必要性がどういう状況になっているのか、そういう実態調査をしっかりと行って、その実態調査に基づいて学童保育の施策をしっかりとやりなさいということも法律に明記をしていく、こういうことを進めております。さらに、学童保育の質を向上させなければいけないということがございます。その点については、指導員の資格の問題とか、あるいは数の問題、あるいは施設、開設する日にちとか時間とか、そういうようなものを法律でしっかりと基準を定める。そして市町村では、条例を作って、その基準に基づいてこの学童保育をしっかりと進めていく。こういうような法律を今回、国会に出すだろうというふうに思います。従って、私どもは、そういう政府の方針を踏まえまして、全部の政党で、今回の議員連盟では、しっかりと後押しをして、政府の方へあげていくことがあるならば、それを補充をして、学童保育をより充実するものにさせていこうと考えています。」

この議員連盟と全国連協との懇談も予定をされているようです。この議員連盟の結成を機に、学童保育施策が「抜本的」に改善されていくことを期待したいと思います。それを実現していくためにも、全国連協、県連協とともに、みんなで協力し合いながら運動を進めていきたいと思います。

「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」の設立総会の様子を、幹事長に就任した馳浩衆議院議員が、2月14日付けの「はせ日記」に書いています。

第30回福岡県学童保育研究集会に参加してきました。2012年02月26日 19時44分45秒

今日は、指定管理者制度に関する分科会の助言者として、第30回福岡県学童保育研究集会に参加してきました。福岡県の学童保育研究集会には、一昨年も参加したので、今回は2回目です。

埼玉県も指定管理者制度の導入が進んでいますが、福岡県もその導入が進んでいる県の一つです。全国では、学童保育数20,204箇所に対し、指定管理者制度が導入されているところが2,171箇所(10.7%)となっていますが、福岡県では、箇所数870に対して、導入されている施設が152箇所(17.4%)だそうです。埼玉県では、1,050箇所に対して、259施設(24.7%)で導入されています。

昨日の夜は、博多で、福岡県連協の森元さんや分科会の司会者、指導員さんたちと、飲みながら懇談をしました。この夜の懇談会での話や分科会での各地域の発言を聞いていて思ったのは、元気っ子クラブのような経営団体と父母会組織(市連協など)、指導員集団(指導員会など)の3者が、同じ思いで同じ方向を向いて運動を進めていくことの重要性です。

元々は父母会運営で出発したにも関わらず、いったん指定管理者として指定を受けてしまうと、次の指定を取るということを第一に考えてしまい、市の言うままに委託料の引き下げを受け入れ、指導員の賃金を削減したり正規職員数を減らしてしまうということもあります。また、市連協のような父母会組織があったとしても、それまでに主体的な活動ができていなかったところは、経営が民間企業に変わってしまうと、その組織があっという間にがたがたに崩れてしまうというところもあります。そういう中でも一定の保育を維持できているところは、指導員が懸命に頑張っているところです。しかし、指導員だけの頑張りだけでは限界があります。

学童保育という大変に遅れた施策の中、指定管理者制度という理不尽な制度のもとだからこそ、経営団体と保護者と指導員の3者が心を一つにして運動を進めていくことが決定的に重要なのだと思います。草加においても、まだまだ課題がたくさんあります。このことの重要性をもう一度確認し、みんなで力を合わせてしっかりと運動を進めていきたいと思いました。

研究集会の午前中の全体会では、立教大学の浅井春夫氏の講演がありました。講演タイトルは、「子どもの貧困とヨカッタ探しの子育て論~子どもを大切にする世界の流れと新システムの問題~」でした。子どもの「貧困」が大変な状況にあること、「貧困」が子ども達の生活や文化、その発達に深刻な影響を与えているということ、イギリスなど子どもの「貧困」に対して真摯に向き合いその改善のための施策を進めている国があるにも関わらず、日本では子どもの「貧困」に対して国は有効な施策を進めていないということ、こういう状態に置かれている子ども達を前にして学童保育の実践に求められていることなどについて、大変わかりやすく、興味深い内容でした。

今年の全国研は、埼玉県で行われます。次は、埼玉の全国研で会いましょうと約束をし、福岡をあとにしました。