「出生率V字回復」の秘密2008年01月01日 15時28分35秒

暮れに、NHKでやっていた「地球特派員セレクション」という番組を見ました。副題が、「激動する世界の現場から~特派員が見た2007年~」というもの。昨年1年間にやった「地球特派員」という番組の中から、激動する世界を語るにふさわしい「生きのいいルポルタージュ」をセレクトしたものです。

「高成長を続ける中国の光と影、サブプライムショックや地球温暖化などで変わるアメリカ」などのルポもやっていましたが、私が一番印象に残ったのは、スウェーデンとフランスを取り上げていたヨーロッパからのルポでした。スウェーデンからは、「安心して老いる社会~介護先進国からの報告~」と題して、江川紹子さんが、フランスからは「フランスは生んでいる~少子化克服の現場から~」と題して、作家の鈴木光司さんがルポを行っていました。

ご存じの方もいるかもしれませんが、フランスは、少子化に歯止めをかけた国として有名です。1994年には、1.65まで下がった出生率が、現在では、2.0にまで上昇しています。このような出生率のV字回復を成し遂げることができた背景には、日本ではとうてい考えられないような、手厚い子育て支援策がありました。

週35時間労働など、男女ともに仕事と家族生活の両立が可能となるような社会状況もありますが、とにかく子育てのための手当が充実しているのには驚きました。子どもが2人いる家庭には、家族手当が1万9千円出ますが、子どもが3人になると4万3千円、4人になると6万8千円と、子どもが増えれば増えるほど補助が手厚くなります。

番組で紹介していた家庭では、子どもが2人いますが、家族手当1万9千円以外にもたくさんの手当てが支給されます。3歳未満児を対象とした乳幼児基礎手当が2万7千円、育休中の短縮勤務への休業補償が2万1千円、保育支援手当が4万2千円となり、家族手当も加えると、なんと合計で一月に13万3千円にもなります。

スウェーデンもフランスも、日本とは考え方が逆なのだと感じました。日本では、まず最初に、財政状況等が考慮され、そこから介護や子育てのためにかけられる金額がはじき出されてきます。しかし、スウェーデンやフランスでは、まず最初に、お年寄りが安心して暮らせるため、あるいは安心して子育てするためには、どういうことが必要で、どれくらいのお金がかかるのかが検討され、そういう財政支出を工面するためにどうしたらいいのかを後でみんなが考えている様子でした。

いくら税金が高くても、医療費がゼロ、大学なども含めた教育費がゼロで、安心して子育てができ、老後の心配をすることなく老いることができるのであれば、誰も文句を言わないのではないかと思います。日本のような発想では、いくら消費税などを上げて財源を確保しても、本当に介護や子育てにお金が回ってくるのか当てにはなりません。政治は、一人一人の生活からこそ、出発すべきものです。個人の「安心」をまず第一に考える社会こそが、一人一人の人間の幸せを実現していく社会だと思います。

今年が、本当に一人一人の幸せが実現できるような年であってほしいとつくづく思います。今年も一年、よろしくお願いいたします。

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