オスプレイのヘリパッド建設反対運動に関する「標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~」を見て。2012年09月05日 23時07分03秒

琉球朝日放送が作成した「標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~」が、3日深夜(実際には4日の早朝ですが)にテレビ朝日で放映されました。深夜の放送だったので、ビデオに録画し昨日の夜に見ました。

高江というのは、沖縄県東村にあります。東村の北側には、ヤンバルの森が広がり、南側は普天間基地の移設計画がある名護市と接しています。皆さんご存じかと思いますが、普天間基地の移設先として計画されている名護市辺野古沖はジュゴンの生育地となっており、自然保護団体や多くの人が基地の建設に反対しています。

今回の番組は、この東村に、今問題となっているオスプレイの離発着基地(ヘリパッド)建設計画があり、それに反対した住民が「通行妨害」ということで、国に訴えられてしまったという事件を取り扱ったものです。

国など権力のあるものが反対意見を封じ込めることを目的に、弱い立場にある人を訴えることをアメリカではSLAP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)裁判と呼んでおり、多くの州で禁じられています。しかし、日本にはこのような被害から弱い立場にある人を守るための法律がありません。

東村の北側の森林地帯に、米軍の演習場があるということは知っていましたが、オスプレイのヘリパッド建設計画があり、それに反対している住民運動があるということを、寡聞にて知りませんでした。

高江地区は、住民わずか160人の小さな集落です。その集落を囲むように、6カ所ものヘリパッド建設が計画されているそうです。現在でも、日常的に米軍ヘリが旋回しているというのに、さらに地区を囲んで6カ所ものヘリパッドが建設されるというのは、異常な事態だと思います。「まるで自分たちがターゲットになっているようだ」という住民の言葉は、まさに実感だと思います。

実際に高江地区の住民は、ベトナム戦争当時、沖縄の山岳地帯に作られた襲撃訓練用の村に、ベトナム人役として連れて行かれ、米軍の訓練に参加させられていたということも、この番組を見て初めて知りました。

実は、東村は、私が受け持っている学年で昨年修学旅行に行き、2日間生徒たちの民家泊を受け入れてもらった村です。

生徒たちは、初めての沖縄、初めての民家泊で、最初は緊張していましたが、東村の方々は、本当に優しく、我が子のように大切に生徒に接してくれました。生徒たちは、自分の家のように温かい雰囲気の中で、東村の方々との2日間の暮らしを心から楽しんでいた様子で、閉村式では、別れを惜しんで涙を流している生徒たちの姿がたくさん見られました。

海がきれいで、自然が豊かで、住民の方はみんな親切で、のどかな平和な村だと思っていました。そんな村の近くに、米軍基地を持ってきたり、地区を取り囲むようにオスプレイのヘリパッドを6カ所も建設するというのは、常軌を逸した行為だと思います。

「米軍基地は、日本の平和のために必要だ」みたいな言葉もよく聞きますが、沖縄の人たちの生活や暮らしを犠牲にして成り立つ「日本の平和」というのは、何の意味があるのでしょうか。いろいろ考えさせられた番組でした。