「子どもの声を社会へ-子どもオンブスの挑戦」を読んで ― 2012年07月15日 21時52分26秒
本の紹介です。4月頃に読んで、とてもよかったのでもっと早く紹介したいと思っていたのですが、なかなか忙しく今になってしまいました。何冊か紹介したい本がありますが、まずは、「子どもの声を社会へ-子どもオンブスの挑戦」(岩波新書 桜井智恵子著)です。
著者の桜井さんは、兵庫県川西市の「子どもの人権オンブスパーソン」を勤めていらっしゃる方です。私は、草加市で子どもの権利条約に関する条例を制定することを求める運動にも係わっていますので、川西市の「オンブスパーソン制度」については聞いたことがありましたが、具体的にどのような活動をしているのかは知りませんでした。また、この制度が、どれほど重要な意義を持っているのかということについても、十分な認識を持っていませんでした。
子どもの権利条約の中で、子どもの意見表明権-子どもの声を聞くということは、極めて重要な位置づけを占めています。しかし、子どもの声を聞き、それを社会に生かすということは、簡単なようで、実はとても難しいことです。「子どもの声」は、まとまった形で理路整然と語られるわけではありませんし、一見「わがまま」なように思われる場合もあります。言葉で「子どもの声を大切にする」と言うだけでなく、現実にそれを保証するための仕組みを作っていくことが必要です。
こういう子どもたちの声を、社会につなげていくためには、学校とも行政からも独立した川西市の「子どもの人権オンブスパーソン」のような第三者機関が必要となります。そしてさらに大事なことは、この「オンブスパーソン」が個人ではなくチームとして活動しているということ、さらに、いろんな諸機関・諸団体、個人との「関係に働きかけ」つながっているということだと思います。
この本を読んで、こうした制度をきちんと生かしていくということが、子どもの権利条約の精神を現実のものとしていくためには不可欠であるということを、痛感しました。子どもに係わる多くの人に読んでもらいたいと思う本です。
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