草加市が、新しい「指定管理者制度運用基準」を策定しました。2011年09月15日 23時06分38秒

草加市は、2004年4月から、指定管理者制度を導入し、翌年2005年6月に、市としての公式な方針となる「指定管理者制度導入方針」(以下「方針」)を策定しました。

草加市は、本年7月に、「指定管理者制度運用基準」(以下「基準」)を策定し、2005年の「方針」を廃止しました。

2005年の「方針」は、基本的には、当時の総務省の文書を忠実になぞったようなものでした。草加市として、自分たちのまちにおいてこの制度をどう活かしていくのかということを、きちんと論議をした上で策定したものであるとはとうてい思えないような内容でした。

実際にこの制度を導入して運用していく中で、様々な課題が誰の目にも明らかとなり、策定数年後には、実態とはかなりかけ離れた内容となっていました。「方針」では、1回目の指定において「随意」指定であった施設は、2回目は「公募」とするとしていましたが、実際には引き続き「随意」となりました。直営に戻された施設もありました。

実態とあまりにもかけ離れているこの「方針」が、ホームページにもずっと載せられており、実態にあった新たな方針の策定がずっと待たれていました。

今回の「基準」では、草加市における「指定管理者制度に関する基本的な考え方」として、次のように述べています。

本市のまちづくりの根底は「市民との協働」であり、この「市民との協働の流れを一層推進することを基本として施設の管理・運営の在り方を考える必要があります。指定管理者の募集は、制度の趣旨から公募が原則ですが、市民とのパートナーシップによる事業の推進や市民活動団体の育成などを勘案し・施設の管理・運営において「市民との協働」等が必要である施設については、公募によらず随意選定を行うことが考えられます。

また、市の出資法人等において管理を行っている施設に関しては、関連施設の連携強化及び一元的に管理・運営することが効率的と思われる施設について、利用者への影響、法人職員の処遇、手続に要する期間及び今後の公益法人制度改革に伴う法人の在り方等を勘案した上、適正に指定を行うこととします。

「随意の手続」についても原則を明確としています。「随意による指定管理者制度運用に当たっての留意事項」として次のように述べています。

指定管理者を指定する場合には、必ずしも公募としなくとも、施設の設置目的が効果的に達成できるものであることから、「地域密着型施設であり、地域団体で施設管理・事業運営するべきもの」、「施設管理・事業運営に専門的な知識・経験・スタッフを要するもの」、「設置目的が同じ施設について、一体的な管理・運営や連携強化が市民にとって有利なもの」等の施設を随意によるものとします。

しかしながら、指定管理者制度は、効率性を高めることを目的としていることから、随意(特命)とすることは例外的な取扱いであり、競争性は発揮されないため、指定期間内及び見直し時に適正に評価を行う必要があります。

「随意」指定とする具体的な基準として、次のような項目を挙げています。

随意として支障がないものは、次に掲げるものとします。

  1. 地域密着型施設であり、地域団体等で施設管理・事業運営を行うことが適切なもの
  2. 施設管理・事業運営に専門的な知識・経験・スタッフを要するもの
  3. 設置目的が同じ施設について、一体的な管理・運営や連携強化が市民にとって有利と考えられるもの
  4. 事業の継続性が必要と認められるもの

「指定期間」については、次のように述べています。

指定の期間については、その長短によって様々なメリット・デメリットが考えられます。仮に、期間を短くした場合では、競争の機会が多くなり、経費の節減が図りやすくなる一方、安定した管理運営が難しくなるとともに、指定管理者の交代によって利用者が不安を抱えることが想定されます。また、期間を長く設定した場合では、安定した運営となり、一定水準以上のサービスを継続して提供することが期待できる一方、競争の機会が減り、経費の節減を図りにくくなることが想定されます。

これらのことを鑑み、指定管理団体のノウハウを活用し、一定の成果を上げるため、措定期間は5年間を標準とします。しかし、施設ごとにその設置目的やサービス内容が異なるため、施設の実情や管理団体の状況等を考慮した上で、適切な期間を設定できるものとします。

また、「債務負担行為の設定」について、次のように述べています。

指定期間が複数年度にわたり、かつ、市から指定管理者に対して委託料を支出することが確実に見込まれる場合は、指定期間全体にわたる債務負担行為を設定するものとします。

なお、各事業年度において、適切な執行管理を行い、限度額を超えることが見込まれた場合は、指定管理者と協議を行ってください。協議の上、やむを得ないと認められる場合は、限度額の変更を行ってください。

草加市のまちづくりの基本が「市民との協働」であり、指定管理者制度においても、この精神に基づいて考えていくことが必要であるという趣旨の位置づけをしています。長い間、「市との協働」「パートナーシップに基づくまちづくり」ということを訴えてきた者として、本当にうれしく思いました。言葉だけでなく、実際の運用においてもこの精神が貫かれていくことを切に願っています。