「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの講演会・シンポジウムに行ってきました。2010年11月13日 21時57分09秒

今日、「『なくそう!子どもの貧困』全国ネットワーク」主催による、「イギリスに学ぶ子どもの貧困解決-日本の子どもの貧困解決スタートへ-」という講演会、シンポジウムに参加してきました。司会者の話では、さまざまな団体、個人が参加し、200名以上の参加があったと言うことでした。最後の方では、派遣村で有名となった湯浅誠さんも駆けつけ、発言をされていました。

ご承知のように、イギリスは、1997年、労働党ブレア政権になってから子どもの貧困に対して積極的に取り組むようになりました。ブレア政権は、1999年に、2020年までに、子どもの貧困を根絶するという具体的な目標を掲げました.同時に、中間的な数値目標として、2005年までに25%削減、2010年までに半減させるという目標を掲げました。こうした国を挙げての取り組みの中で、2005年までには、子どもの貧困に関して大幅な改善が見られました。OECDの調査でも、それまでは、EUの中で最下位レベルだったものが5位まであがりました。

しかし、2005年以降は、景気後退の影響などから、その進捗状況がにぶってしまいました。今年の5月には、総選挙において労働党が敗北し、労働党政権から保守党と自由民主党による連立政権へと変わりました。こうした政権交代の中で、子どもの貧困根絶に向けた取り組みも交代しつつあるようです。

こうした中でも注目されるのが、英国の国会で、"Child Poverty Act 2010"(「2010年子どもの貧困対策法」)が成立したことです。たとえ政権が変わっても、国として、きちんと子どもの貧困に対して取り組むために法律として制定されたものです。子どもの貧困の定義、具体的な数値目標などが明記され、国は貧困対策の進捗状況に関する年次報告書を作成市議会に報告することなどが義務づけられています。この法律にもいろいろと問題点や課題もあるようですが、国として、子どもの貧困解決をめざした法律を定めたということはすばらしいことだと思います。

今日の講師は、イギリスの貧困問題解決のために長年活動してこられたFran Bennettさんでした。Franさんが関わってこられたChild Poverty Action Groupは、1965年に設立され、実に45年の長きにわたって、貧困問題の解決のために活動しています。

Franさんが最後の方で言っていましたが、最初にこの問題に取り組み始めたときには、きちんと道理を尽くして政府に説明すれば、政府も理解し、すぐにでも解決する問題だろうと思っていたということです。「イギリスでは、45年かかってやっと今の段階に到達した、日本でも、いろいろと困難があってもがんばってほしい」とエールを送っていただきました。

いろいろと学ぶことの多かった講演会、シンポジウムでしたが、もう少し討論の時間が欲しかったなと思いました。来週の土曜日には、獨協大学で、子どもの貧困に関するシンポジウムが開催されるので、そちらにも参加しようと思っています。

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