「広島に原爆を落とす日」を見て。2010年08月15日 14時03分20秒

昨日、Bunkamuraのシアターコクーンで、つかこうへい作の「広島に原爆を落とす日」という演劇を見てきました。数日前に、朝のニュースで紹介していたのを目にして、是非とも見たいと思いチケットを購入しました。

この演劇は、もともとは、1979年に初演されたものです。今回は、7月に急逝したつかこうへいさんを悼み、その追悼講演として上演されています。今回の上演は、小説版の「広島に原爆を落とす日」を元にしています。

「広島に原爆を落とす日」は、タイトルがショッキングなだけでなく、その内容も、広島への原爆投下のボタンを押したのは、実は「日本人」であったという途方もないお話です。

広島と長崎への原爆の投下は、アメリカが戦争をやめるために出した条件であり、一瞬にして数十万人を殺戮する兵器のボタンを押した者は、その罪の深さから発狂してしまうだろうから、そのボタンを押すのは「日本人」でなければならないという、訳の分からない理屈です。そして、そのボタンを押す主人公は、愛する女のために、その愛を貫くためにボタンを押します。

全く荒唐無稽な理屈ですが、実際の戦争も、広島や長崎に兵器で原爆を落とすという行為も、日本人が中国や韓国などアジアの人たちに行った非道な行為も、同じように不条理で、馬鹿げたことであったということを逆説的に言いたかったのかなと感じました。そして、その戦争に対する深刻な反省、新しい社会を作ろうとした強い思いを、現在に生きる私たち一人ひとりが、本当に自覚して生きているのか、ということを問いたかったのではないかと思います。

「日本人」が原爆投下のボタンを押したということは、戦後65年間、最高の国家機密とされます。さらに、戦争終結にあたり、アメリカと日本との「密約」があったことが、明らかになります。その、「密約」とは・・・。これは、ネタバレになりますので、ここでは書きませんが、「なるほど!」と納得してしまいました。まさに、戦後の日本の現実を的確に言い当てていると思いました。

東京では、今日が休演日で、明日から8月22日(日)まで、大阪では、8月27日(金)から29日(日)まで上演されています。イープラスのチケット情報で確認したら、東京では、19日から21日まで、大阪では3日間ともまだ席が空いていました。是非とも、多くの人に見てもらいたい演劇です。

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