総選挙で重視したいこと その①「誰に目を向けて政治をしようとしているのか?」2009年08月16日 22時12分22秒

前のブログの続きですが、まず最初に、家族や教育、子育てに対して、日本がどれくらい力を入れているのか、国際的にどういう位置にいるのかということを見ていきたいと思います。そのために、いくつかの数字を紹介します。出典は、全てOECDの調査です。(①は、"Social Expenditure Database"から、②と③は、"Education at a Glance 2008"から、④は"Society at Glance 2009"からのものです。)

項目日本日本の順位OECD平均フランスイギリスアメリカ
①家庭に対する公的支出(GDP比)0.8%26位/29カ国2.0%3.0%3.2%0.6%
②学校教育に対する公的支出(一般政府総支出比)9.5%29位/30カ国13.2%10.6%11.9%13.7%
③就学前教育に対する公的支出(GDP比)0.09%25位/27カ国0.36%0.65%0.28%0.30%
④子どもの貧困率13.7%19位/30カ国12.6%7.6%10.1%20.6%

①は、社会保障の中で、特に「家庭」に対してどれほどの公的支援が行われているのかということです。②の中で言う「学校教育」は、初等教育から高等教育-日本で言えば小学校から大学(院)まで-を含んだものです。③の「就学前教育」の対象は、3歳以上児です。④の「貧困率」は、「相対貧困率」のことです。

ここに示した数字は、ほんの一例です。どの数値を見ても、OECD諸国の中で下位レベルです。①から③については、最下位レベルと言ってよいでしょう。日本(の政治)が、これまで、いかに家族や教育、子育てに対して、力を注いでこなかったのかということが非常によく分かると思います。

こうした影響を最も受けているのが一人親世帯です。子どものいる一人親世帯の貧困率は、日本の場合、親が就労している場合であっても58.4%にもなっています。OECD平均が21.2%、次に悪いルクセンブルグが38.3%です。30カ国中、断トツで最悪の数字です。きちんと就労しているにもかかわらず、一人親世帯の6割近くが「貧困」家庭であるという日本は、本当に「先進国」の名に値するのでしょうか。「先進国首脳会議」(現在はロシアが加わったため「主要国首脳会議」と呼ばれている)のメンバーであった日本ですが、こうした数字を見てみると、日本は、本当の意味で「先進国」なのかと疑問になります。

他の国と比べて、日本にお金がなかったわけでありません。これらのOECD調査で示された数字は、GDPや政府総支出の中での割合です。つまり、限られた予算の中で、多くのOECD諸国が当然のこととして割り当てていたお金を、日本では使ってこなかった、つまり、他のことに使ってきていたというわけです。では、何にお金を使ってきたのか?そのことを詳しく述べることは出来ませんが、少なくとも言えることは、弱い立場にいる人-子どもや一人親世帯の家庭など-に目を向けた政治ではなかったということです。

今回の総選挙にあたって、私が最も重視したいのは、それぞれの政党がどういう立場で、誰に目を向けて政治を行おうとしているのか、誰の声を代弁して政治を行おうとしているのかということです。その政党の基本的な姿勢、ポリシーの問題です。

今回の総選挙は、政権交代があるのかないのかということだけが争点ではないと思います。一人ひとりの国民の命とくらしを大切にし、すでに多くの「先進国」で当たり前に行われている政策がきちんと行われ、本当の意味で「先進国」と言われる日本を作っていくことが出来るのかどうかが問われているのだと思います。

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