朝日新聞「耕論」 「孤育ての国」を読んで。2010年11月28日 23時01分24秒

11月23日付朝日新聞の「耕論」で、「孤育ての国」という特集をやっていました。

「子育てママが孤立感を深めている。日本はいつの間にか周辺に類例のない『孤育ての国』になった。昔より育児支援が広がっているのに、なぜ?どうしたら解消できるの?世代の違う3人の母が語る。」

ということで、金原ひとみさん(作家)、落合恵美子さん(京都大大学院教授)、大日向雅美さん(子育て支援NPO代表理事)の3人が語っていました。

3人ともが、それぞれに非常に興味深いことを書いていました。機会があれば、是非図書館か何かでさがして読んでほしいと思います。

ここでは、落合さんの文章を少し紹介します。

よく、「昔の母親は一人で立派に子育てをこなした。今の母親は育児をちゃんとできず、だらしなくなった。」と言う人がいますが、落合さんは、「母親がちゃんとしていた」と言われる60年代の母親と、80年代の母親達の比較調査をしました。

その結果分かったことは、「60年代の母親達は一人で育児しているように見えて、親族ネットワークの援助を得てい」たということです。「一方、2人っ子が多い80年代の母親は、きょうだいからの援助はほぼゼロ。」「その分、近隣ネットワークが強まり、互いに子どもを助けあっていました」が、「少子高齢化が進んだ今は、それがほとんどできなくなっています。」

「つまり、孤立した母親が育児できた時代なんてない」ということ。「母親がだめになったのではなく、人口学的条件と社会的インフラの問題」だということです。

落合さんは、アジア6カ国・地域の比較調査も行っています。そこから分かったことは、「『孤育て』が日本特有の現象だ」ということ。他の国・地域では、「育児中の女性を孤立させない仕組みが複数機能しているのに、日本にはほとんどなかった」ということが分かりました。

日本社会の問題は、「育児に限らず、高齢者介護など福祉の負担を家族に集中させてき」たことです。落合さんは、「今求められているのは、家族を支える社会的なネットワークの再編成」だと述べていますが、全くその通りだと思います。

社会全体で、子育てを支える仕組みを、本気で作っていくことが必要だと思います。

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